言語世界地図(22)

○バスク語
2004年3月マドリードで発生し、200名近い死者をだした
列車同時爆破テロの際、スペイン政府当局は最初これを
バスク地方の独立を目指すテロ組織「バスク祖国と自由」
(ETA)の犯行だと発表した。後になってイスラム過激派
によるものであることが明らかになったが、1960年代
以降スペイン国内で数々のテロ活動を展開し、多くの
犠牲者を生み出してきたETAが最初に疑われたのも
無理は無い。

バスク地方は、ピレネー山脈をはさんでスペイン北部と
フランス南西部の大西洋岸に位置する、約1万平方㌔
程度の地域である。バスク人の起源は明らかでないが、
この民族が初めて歴史に登場する紀元前1世紀頃には、
イベリア半島側を中心として現在よりはるかに広い地域
を支配していたとされる。

画家の愛用したベレー帽がバスク地方由来であり、日本
に初めてキリスト教を伝えた、イエズス会宣教師
フランシスコ・ザビエルはバスク人であった。

バスク人は独立心が強いことで知られ、統一国家を形成
したことはないが、古代から中世にかけては、ローマや
イスラム教徒の支配に対抗して独立を維持した。
12世紀以降は大国に併合されたとは言え、イベリア半島
のバスク地方は長い間自治を保った。
しかし19世紀以降の中央集権化により自治権が制限
され、1939年から1975年にわたるフランコ将軍独裁の
時期には、独立を求める民族運動は徹底的な弾圧を
うけた。テロ活動が活発化したのは、フランコの死後、
自治権が徐々に認められるようになってからである。

産業革命以後重工業が発達したバスク地方には約300
万人の人々が住んでいるが、そのうちバスク語を話す
のは約60万人である。その60万人にしても、ほぼ全員が
スペイン語かフランス語のどちらかの言語をも日常的に
使用するバイリンガルである。

バスク人の起源が不明なのと同様、バスク語の起源も
分っていない。スペイン語やフランス語とは全く似ておらず
これらの言語が属するインド・ヨーロッパ語族の言語でない
ことは確かである。バスク語の特徴として有名なのは
「能格」構文と呼ばれる表現である。日本語では「太郎が
来る」のような自動詞の場合と、「太郎が花子を見る」の
ような他動詞の場合で、どちらも「が」を用いて主語を話す。
ところがバスク語では、日本語風の言い方をすれば、
「太郎来る」「太郎が花子見る」のように表され、自動詞の
主語と他動詞の目的語には助詞を用いないのに、他動詞
の主語だけ特別の方法によって表されるようなしくみ
になっている。このような特別の方法で表された主語の
形式を「能格」と呼び、同じ現象がカフカス地方のグルジア
語にも見られる。

グルジア語と同じくバスク語でも、主語や目的語の人称・数、
時制や能動・受動などの文法的な働きに応じて動詞が
複雑に活用する。こうした類似点があるため、バスク語の
起源は遠く離れたカフカス地方にあるという説もある。

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言語世界地図(21)

○タイ語・ラオ語
ラオ語(ラオス語)は隣国タイ語やミヤンマーで話される
クーン語やシャン語などとともに「タイ諸語」と呼ばれる
言語群に属している。中国語やチベット語などとともに、
「シナ・チベット語族」に属するという学説もあるが、まだ
定説がない。

ラオ語とタイ語は非常に似ており、同じ言語の方言と
見なしてもよいくらいである。
タイ語は言語類型的に中国語と同じ「孤立語」に属する
言語であり、主語や目的語は「膠着語」の日本語と
違って語順を用いて表される。
語順は中国語や英語と同じ「主語+動詞+目的語」が
基本である。

動詞が活用することもなく。過去形も未来形もない。
中国語と違うところは、チャ-ハンのことを中国語では
「焼飯」というのにタイ語では「飯焼」のような語順で言う。
発音の特徴は中国語と同じように「声調」があること。
声調とは母音を発音する時の音程が、高く始まって
低く終ったり、逆に低く始まって高く終ったりする現象
である。中国語の標準語の声調は4種類あるが、タイ語
では五つまたは六つの声調が区別される。

文字は独特のタイ文字が使われる。タイ文字はインドの
サンスクリット語を書き表すための「デーバーナーガリー
文字」を起源とするクメール文字をもとにして、13世紀に
考案された文字であり、丸まっこい形をした美しい文字
である。ローマ字と同じように、基本的には一つの文字が
一つの音を表すしくみになっている。

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イタリア語センターBRABO 鎌倉校

かねて目をつけていた、鎌倉駅近くの島森書店2階にある
語学塾BRABO鎌倉(経営会社は有限会社エスト)が新装開店
し、仏語、スペイン語、韓国語の他にイタリア語も宣伝している
ので、イタリア語のレベル・テストを受けてみた。
昔の入門書でざっとおさらいして行ったが手ごわいテストだった。
イタリア語の設問に対し、イタリー語の文章4つのうち一つ
正しいものにチェック・マークをいれるのだがこれが難しい。
設問の量も多くお手上げ状態。

ついで、若いイタリア人女性講師(ミラノ出身)の口頭・会話
面接。イタリア語だけの難しい文章のテキストを見せられたが、
歯が立たないのでこの教材は断る。英語で断る。
結局この学校で作った、会話と文法のテキストを使うことにし、
入門コースのセミグループ・レッスン2ヶ月間、全8回、30,950円
を申し込む。今日は入会金9,800円を払い追加の管理費2,700円、
教材費2,100円を含めたものは、グループが確定した段階で払う
ことにし、銀行口座振り替えとはせず、すべて現金払いとする。
経営がかなり小規模なので割高、またなんでも銀行振り替えで
落とされては無用心なのでこれはしない。

BRAVO会員規定書なるものがあって、一応書式は整っている。
BRABOの教室は横浜西口校、本厚木校、鎌倉校と少なく、
小規模経営なので今後どうなるかは見通し困難。自分にとっては
藤沢や横浜にでかけなくてよいのでその点では便利だが、
要注意の学校ではある。今後とも様子を見る。

自分の目的はカンツオーネやオペラ・アリアを読めるようになること
だが、NHKの「テレビでイタリア語」、9月号をみると、「オペラの
楽しみ方・・プッチーニ生誕150年」の講座を出しているではないか、
楽譜も小節に分けて出している。世の中、進みが速いな。
NHKラジオ第2放送、「毎日イタリア語」9月号、文法塾・・伊語事始
も充実している。

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言語世界地図(20) 町田 健著 新潮新書

7月に発効した日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づき
インドネシア人介護福祉士と看護師が計約200人が来日した。
東京や大阪などの施設で約半年間、日本語の研修を受けたあと、
来年から老人ホームや病院などで働く予定だ。
受け入れ側にとっても財政負担があるようだ。

●インドネシア語
全人口2億2千万のうち約半数の住民が住むジャワ島は赤道より
少し南に位置している。熱帯の国であるが夏に訪れると意外と
涼しい。最高気温が年間を通して30度程度であり、時に40度近く
まであがる日本の夏とは大違い。

「インドネシア」という名称の「ネシア」はもともとギリシャ語で「島
nesos」を意味していた。「メラネシア」、「ポリネシア」など太平洋に
点在する島々を指す地名にも「ネシア」がついている。
人の住む島だけで4千近くあり、250に上る異なった民族が居住
している。言語も多様であり、「オーストロネシア語族」という系統に
属する諸言語が200以上も話されていると言われる。

それら多様な諸言語の上に君臨するインドネシアの国語は「インド
ネシア語」と言われるが、実は隣国マレーシアの国語「マレー語」と
同じである。言語的多様性を克服しての一つの国家としての統一を
実現するために、共通語として選ばれたのがマレー語だった。
17世紀に始まるオランダによる支配の時期に、オランダ語が強制
されることはなく、マレー語を使用して統治が行われた。
1945年の独立宣言時、制定された憲法で、これをインドネシア語
として正式に国語になった。

国語だから学校や役所などの公的な場面では、インドネシア語が
使われるのだが、これを母語として使用している人はそれほど多く
ない。3千万人程度ではないかと言われている。最も多くの母語
話者をもつのはジャワ語(話者数約7千万)であり、同じジャワ島
では、スンダ語やマドウラ語、バリ語などの言語を母語とする人口も
数千万にのぼる。4千万人以上が住むスマトラ島でも、マレー語
以外に、バタック語、ガヨ語、ランプン語、アチェ語などの言語が
使われている。インドネシア語は、一つの国家としてのインドネシア
の文字通り象徴的存在だと言える。

インドネシア語の発音は日本語と大体同じでそれほど難しくない。
文法は「主語+動詞+目的語」の基本語順や前置詞の使用など
英語とかなりよく似ている。ただし、日本語の助詞や助動詞と似た
働きをする接辞を動詞や名詞の前後につけることで、さまざまな
文法的な意味を表す点は英語と大きく違っており、これは日本語
などの膠着語に似た特徴である。

インドネシア語では名詞を繰り返すことで複数の意味を表す。
動詞balik(戻る)を繰り返しbalik-balikとすると「行ったり来たりする」
意味になる。

ほぼすべての言語の起源は同じであって、それを統括するのが
インドネシア語である。

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言語世界地図(19) 町田 健著 新潮新書

●ベトナム語
NHK「鶴瓶の家族に乾杯」の海外ロケによるスペシアル版、ベトナム・
ホイアン(ダナンの南)が7月28日、地1で放送された。
ホイアンは世界遺産の町で港町、昔日本人町があり貿易に従事して
いた。住宅街には「日本橋」がかかっており、いまは現地名だが傍ら
の記念碑には日本橋のことが書いてある。
鶴瓶は魚師町で、芝田山親方(元横綱大乃国)は農村へ行って交流。
ぶっつけ本番の旅を繰り広げた二人は、見知らぬ来訪者を暖かい
笑顔で迎えてくれるベトナムの家族の優しさにすっかり、とりこに
なっていく。     番組の司会は小野文恵。

あのベトナム戦争が終ったのが1975年。1980年代後半以降の
ドイモイ(刷新)政策による資本主義原理の導入により、ベトナム経済
が目覚ましい復興を遂げた。民族衣装「アオザイ」は印象的だ。この
「アオザイ」という単語は、ベトナム語で「長い衣」を意味する。

ベトナム語が使われる地域はほぼ現在の共和国の領域に限定され
るが、周辺の中国、ラオス、カンボジアにも少数だが話者が存在する。
人口8千万人と推定されるから、かなりの大言語である。

ベトナム語は中国語と同じように、母音を発音する時に、音程を上下
させる「声調」をもつ言語である。しかも標準中国語の声調が「4声」と
呼ばれる4種類であるのに対し、首都ハノイで使われるベトナム語の
声調は6種類もある。
また、一つの単語が一つの音節で表され、単語に全く活用がなく、
語順は「主語+動詞+目的語」が基本であるなど、中国語とよく似た
特徴を持っている。

ところが、中国語が「シナ・チベット語族」に属するのに対し、
ベトナム語は「オーストロ・アジア語族」という別の語族に属しており、
両者は起源的には異なっている。
ベトナム語と類縁関係のあるカンボジア語には、声調の区別がない
ことから、ベトナム語の声調も最初はなかったものが、後になって
発達したものだろうと考えられている。
中国語と起源的に異なると言うものの、紀元前3世紀に秦によって
征服されて以来、10世紀に独立を果たすまで、千年以上も中国の
支配下にあった。このため日本と同じく、あるいはそれ以上に、
圧倒的な中国の影響下にあった。
日本語が大量の漢語をとりいれたのと同様、ベトナム語も中国からの
借用語を取り入れ、現代ベトナム語の語彙の7割以上は中国語由来
のものである。

漢字をもとにして日本独特の文字「仮名」が作られたように、ベトナム
語特有の音を表すため、漢字から「チュノム」という文字が13世紀頃
作られた。ただし仮名が漢字の字体を簡略化したものであるのに対し
チュノムは漢字の偏と旁を組み合わせるという方法で作られた。
従って日本の「国字」と同じで、見た目は漢字に似ている。
19世紀まで、日本の漢文と同じ、古典中国語による文章と並んで、
このチュノムと漢字をまじえる方法でベトナム語の表記が行われた。

ただ17世紀にはキリスト教の宣教師たちによって、ローマ字による
ベトナム語表記が考案され、現在ではローマ字に声調符号をつけた
表記が用いられており、「クオク・グウ」と呼ばれる。
同じ漢字文化圏でありながら、伝統的な漢字をあくまでも守り続ける
日本と、表音文字であるローマ字へ転換を遂げたベトナムは対照的
である。

英語からの外来語が非常に少ないという点も日本語と異なる。言語
的にはかなり違った道筋を辿った両国だが、正月に餅や赤飯を食べる
習慣は共通である。


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言語世界地図(18) 町田 健著 新潮新書

●英語(上)
母語としての話者数が世界で最も多い言語はおそらく中国語だろう。
しかし、世界で最も広い範囲で通用する言語は、間違いなく英語だ。
英語を第一言語とする主な国は、イギリス、アメリカ、カナダ、
オーストラリア、ニュージーランドなどである。
アイルランドも実質的には英語が第一言語。それ以外にも、インド、
パキスタン、南アフリカ、フイリピン、シンガポール、ガイアナ、ケニア、
タンザニア、ジャマイカ、フイジー、サモアなどアジア、アフリカ、
オセアニア地域にまたがる多数の国で第一言語または公用語として
使用されている。
全体で10億人をこえる数の人々が英語を日常的に使用している
ことになる。

これほどの勢力をもつ英語ではあるが、起源はまことにささやかな
ものである。ゲルマン諸部族の移動で、ヨーロッパ大陸北部に住んで
いたアングル族、サクソン族、ジュート族が5世紀頃、ブリテン島に
移住し、彼らの言語を基礎として出来上がったのが英語であった。
当時の文明語は、間違いなくラテン語とギリシャ語であり、これら
巨大な2言語に比べると、生まれたばかりの英語は辺境の一弱小
言語に過ぎなかった。

もとはゲルマン民族の言語なので、英語はドイツ語やオランダ語、
さらにはスエーデン語、デンマーク語、アイスランド語などの北欧語
の仲間である。
言語としての特徴も、基本的にはこれらゲルマン諸語と共有する
部分が大きい。

英語の特徴の一つとして、フランス語起源の外来語が非常に多い
ことである。これは、11世紀の後半からおよそ3世紀にわたって
イギリスを支配したのが、フランスのノルマンデイー公国出身で
フランス語を話す王族だったことによる。
この結果、支配階級が使用する語彙を大量に借用した。
noble,army,councilなど為政に関する用語だけでなく、mountain,
river,fruit,countなど使用頻度の高い日常語までもがフランス語
起源だというのは驚くべきことである。

さらに英語は、15世紀から16世紀にかけて、「大母音推移」と
呼ばれる大規模な母音の音色の変化を経験している。
nameやcookは変化が起こる前は、文字通りナーメやコークだった。
大母音推移の結果、現在のような発音になったのだが、単語の
綴りは一度決まると簡単には変えにくい。このため、英単語の
綴りと発音の間に、他の言語にはあまりみられない、大きな
相違が生じてしまった。

こうして、5百年の間に初期の特徴を大きく変貌させた英語を
使用するイギリス人は、18世紀以降の工業化による経済発展
を背景に、世界各地で植民地を経営し始めた。
この結果としてブリテン島の一言語にすぎなかった英語は、
植民地支配を通じて世界の広範な地域へと、その使用域を拡大
していくことになる。

ただし、20世紀初頭までは、世界の外交用語として、最も威信
をもっていたのは、フランス語であり、外交文書は専らフランス語
で書かれていた。外交用語として英語が使われるようになるのは、
1919年のベルサイユ講和条約以降である。
英語を世界語とするためには、大英帝国の力だけでは不十分で、
かってイギリスの植民地であった新興勢力アメリカ合衆国の発展
が不可欠だったのである。

●英語(下)
同じ言語が離れた地域で使用されている場合、独自の変化を
辿るのが普通である。

5世紀にローマ帝国が崩壊した後のラテン語の運命がそれであり
西ヨ-ロッパ各地で使われていたラテン語がもとになって、
スペイン語、イタリア語、フランス語のようなロマンス諸語が形成
された。
英語の場合は事情が異なる。イギリスの植民地支配が浸透した
のは19世紀後半だから、英語がイギリスを離れて南北両半球に
広がってから、まだ150年にもならない。
英語を第一言語あるいは公用語として使用する国々の多くは
「イギリス連邦」に加盟しており、イギリスとの交流が活発である。
アメリカはあらゆる面でイギリスと密接な連携をとっていることは
言うまでもない。言語としての一体性が維持される条件がある。

とわ言え、イギリス英語とアメリカ英語が違うことはよく知られて
いる。
1.hard,carなどの単語にあるrの音は、アメリカでは発音されるが
イギリスでは発音されない。
2.coat,bowlなどにある「ou」の音は、イギリスでは「アウ」の
ような感じになる。
3.hot,stopのoはイギリスでは綴り通り「オ」の音だが、アメリカ
では口をかなり広げた「ア」の音で発音される。

オーストラリアはアメリカよりずっと遅く18世紀の末に、イギリス
からの入植が始まったため、基本的には現在でもイギリス英語と
似た特徴をもっている。
ただし、入植者の多くが比較的下層の階級だったこともあり、
1.day,wayにある「エイ」の音が「アイ」に変わる。
2.halfのようにhで始まる単語で、このhの音が発音されないこと
がある。
「コックニー」と呼ばれるロンドンの民衆が使う英語の特徴が
一般的に見られる。
お金をbickies,紅茶をcuppaというなどオーストラリア英語独特の
語彙もある。

英語が共通に示す一風変わった特徴もある。文の疑問文や
否定文に、もともとはない単語の「do」を使うなどと言う言語は
実は極めて珍しい。

異なった地域で異なった人間が使う以上、そこに変異が生じる
のも当然である。純粋にして絶対的な規範を与える英語など、
これまでもなかったし、これからも生まれることはないのだ。

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言語世界地図(17) 町田 健著 新潮新書

●インド英語
インドにおける情報技術(IT)の進歩は著しい。海外に輸出される
ソフトウェアなどの売り上げは、年2兆円以上になるという。
インドは数学や論理学など科学関係のレベルが伝統的に高い
のであるが、加えてインド人技術者の英語能力が一般に優秀だとも
いえる。IT関係の文書はすべて英語で作成されており、それだけに
高い技術の成果を国際的に発信することが容易になっている。

英語は世界各地で公用語として用いられているが、必ずしも本場の
イギリスやアメリカが、英語に関して誰もが従うべき統一的な規範を
与えているわけでなく、両国間でさえ少なからぬ差異がある。
インドだけでなく、フイリピン、シンガポール、南アフリカなど、世界
各地でそれぞれ独自の英語が発達したとしても不思議はない。

インド英語の特徴としてまず挙げられるのは、rの発音である。
アメリカ英語では舌を巻き上げるようにして発音されるが、インドでは
イタリア語やロシア語などのrと同じく、歯ぐきの付け根で舌先を
震わせる「巻き舌」で発音される。
しかも単語の綴りにある文字は原則としてすべて発音されるから、
例えばPark(公園)やunderstand(理解する)は「パルク」や「アンデル
スタンド」のように聞こえる。
またthで書かれる音は、正しくは舌を上下の前歯の間に挟んで
発音しなければならないが、日本人と同様インド人にも発音しにくい
らしく、thank youは「タンキュー」のように発音される。

さらに本式の英語では単語のアクセントが決まっていて、どれかの
母音を強く発音するのだが、インド英語ではこのアクセントが明瞭で
ない。その上、一般にインド人は早口で英語を話すので、耳で聞く
限りでは、日本人が想定する英語とはかなりの隔たりがある印象
を受ける。

語彙の面では現地語起源の単語が使用されるのは当然で、
例えばguruが先生、dakが郵便の意味で使われる。hotelはホテルで
なく、レストランを表す。

文法的にもいくつか特徴がある。knowやunderstanのような動詞は
「状態動詞」に分類され通常は進行形にならないとされる。だが
インドでは、He is knowinng the fact.のように、状態動詞でも
進行形で使われるのが普通である。
Didn't you attend the meeting?(参加しなかったのですか)との
質問に対し、No,I didn't.(参加しませんでした)ではなく、Yes,I didn't
と、Noではなく、Yesで答える(これは日本語の「はい」と同じ)など
正しいとされる英語の文法とは異なる表現が用いられる。

このように独特の特徴が見られることから、インド英語は一語で
Hinglishと呼ばれることすらある。欧米の英語使用者にも確かに理解
し難いらしく、IT産業を推進するインドの企業では、できるだけ標準的
な英語を使って、相互理解を円滑にしようと努力している。

しかし、公用語が19もあるインドで、広い地域で通ずる言語はほぼ
インド英語に限られるのであり、HinglishがEnglishに統合される日は
まだ遠いだろう。

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言語世界地図(16) 町田 健著 新潮新書

●タミル語
インドは映画の国である。1年に製作される映画は8百本近くもあって、
世界で最も多く、アメリカの倍もある。日本などと違って国産の映画の
方が人気がある。歌と踊りが満載のインド映画は確かに見て楽しい。
ムンバイ(ボンベイ)で製作されるヒンデイー語によるものと、
チェンナイ(マドラス)で製作されるタミル語によるものである。

ヒンデイー語はインド全体の公用語であり、系統的には、インド・
ヨーロッパ諸語に属する。
一方タミル語は「ドラビダ諸語」と呼ばれる別系統の諸言語に属して
いる。タミル語はドラビダ諸語の代表である。
ドラビダ諸語はインド南部の地域およびスリランカで約1億5千万人
の人々によって使われている。
スリランカ中南部で話されるシンハラ語はインド・ヨーロッパ語族に
属する。北インドの部族が移動したためのようだ。

ドラビダ民族が何時ごろから南インドに定住するようになったのかは、
まだよく判っていないが、ギリシャ語の資料やアショカ王の碑文から、
紀元前3世紀より前であったことが確認できるとされる。

タミル語は話者数約4千6百万人で大言語であることは間違いない。
シンガポール、マレーシア、フイジー、マダカスカルにも相当数の話者
が存在する。

目的語を表すために、名詞の後に日本語の助詞「を」と働きが同じ
単語を続けるし、動詞の現在形や過去形を作る場合には、日本語の
「る」や「た」と似たような接辞を動詞の後に置く。
語順も「主語+目的語+動詞」で日本語に似ている。
こういった類似点がかなりあることから、タミル語と日本語の祖先は
同じなのではないかという学説(大野晋)も提唱されたりしているが、
確実な証明はできていない。

名詞には単数形と複数形の区別があること、人称によって動詞が
活用すること、動詞に不定詞や分詞形があることなど、日本語と
異なる特徴も多い。

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言語世界地図(15) 町田 健著 新潮新書

●モンゴル語
近年モンゴル人力士の大相撲での活躍は目覚しい。しかも彼ら
モンゴル人力士は皆実に日本語がうまい。これには、日本語と
モンゴル語の文法がかなり似ているということも、関係しているの
かもしれない。
モンゴル語には日本語の助詞や助動詞と同じ働きをする単語が
あって、同様に名詞あるいは動詞の後に置かれ、さまざまな文法的
意味を表す。このことから、語順も二つの言語でほとんど同じである。

勿論日本語とは異なる点も多い。まず単語の形は全然似ていない。
目はnudだし、口はam、川はgolで、単語は頭から覚えるより
方法はない。母音は10個もあって、日本語より発音は少し複雑で
ある。日本語では主語と目的語を表すのに「が」や「を」などの助詞
を使うが、モンゴル語では主語を表すための助詞はないし、目的語
も助詞をつけないで表されることも多い。

単語の形が似ていないことから、日本語とモンゴル語との間には、
起源的な関係はないと考えられている。
モンゴル語と単語が似ているのは、ツングース語系やトルコ系の
諸言語のほうである。

モンゴルでのモンゴル語話者は約2百万人で標準語は首都
ウランーバートルを含むモンゴルの大部分で話されているハルハ
方言に基づいている。
モンゴル語はモンゴルだけで使われているのではない。中国の
内蒙古自治区や新疆ウイグル自治区には、3百万にのぼるモンゴル
語の話者がいる。世界で最も多くのモンゴル語話者を擁するのは、
モンゴルではなく中国なのである。

モンゴル語自体にはモンゴルと中国とでほとんど違いがない。
中国ではウイグル文字をもとに作られたとされる、伝統的な縦書き
のモンゴル文字で表記されているが、モンゴルでは1946年以来
ロシア語と同じキリル文字による表記が採用されてきている。

13世紀に大帝国「元」を築いたモンゴル民族は、今やモンゴルと
中国と言う二つの地域に分断されている。
元帝国もフビライの死後は分断され崩壊への道を辿った。

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言語世界地図(14) 町田 健著 新潮新書

●台湾語
台湾は九州より小さい島なのに、人口は約2千2百万人と、九州の
全人口の1.5倍近くもある。住民のほとんどは漢民族である。
ただし、この島を最初に領有したのは大航海時代のヨーロッパ人たち
であった。ポルトガル人の探検家が台湾を見て「美しい(formosa)島」
と呼んだことから、現在でもこの島は「フオルモーサ」とヨーロッパ
諸語では呼ばれている。

17世紀に台湾を支配するようになったオランダやスペインは、この島
の開拓のために中国本土からの移民を集め、これ以来漢民族が
ぞくぞくとこの島に移住するようになる。
移民の主体は、近隣の福建省と広東省各地域の出身者であるが、
福建省出身者が8割以上を占める。

現在「台湾語」とよばれる言語は、福建省で使用される「閩南語
(ビンナン)」と同一のものである。中国の標準語である北京語の
声調が4種類であるのに対し、それより多い7種類である。
漢字は繁体字を使用する。
広東省出身者の一部の言語は「客家(ハッカ)語」とよばれるが、
現在では台湾の北部と南部の限られた地域で通用するだけだ。

これらの古い移民の子孫による住民層が「本省人」と呼ばれるのに
対し、第2次大戦後に中国本土各地から移住してきた漢民族は
「外省人」とよばれる。外省人のうち、政治的実権を握ったのは
国民党政府であり、彼らが公用語として住民に強制したのは、本土
と同じ北京語だった。したがって現在でも公的場面で使用される
のは北京語である。
しかし、本省人の多くは日常的には台湾語を使用している。

北京語も台湾語も中国語という一つの言語の方言として、取り
扱われることが多いが、実際には互いに通ずることはなく、その点
では異なった言語だと看做すことも可能である。

さて、台湾には古くから居住してきた先住民族がいる。伝統的には
「高砂族」と総称されている。人口は30万程度だと言われ、台湾
全人口の2%にも満たない。しかし高砂族の諸言語は台湾各地に
分布しており、20以上もあるとされる。

高砂族の諸言語は、台湾語や北京語のようなシナ・チベット語族
ではなく、インドネシア語やフイリピンのタガログ語と同じ
「オーストロネシア語族」に属している。この語族に属する諸言語は
インド洋から南太平洋地域にまたがる広大な地域に点在する島々に
分布しており、言語数・話者数両方の点で、世界でも有力な語族の
一つである。

高砂族の言語は、基本的には日本語と同じ膠着的な類型に
属している。ただ、主語や目的語、あるいは場所、道具などの
文法的働きをする名詞のうち、どれが強調されるのかを、動詞に
特別の接辞をつけて表すという、タガログ語などと同じ性質を示す
点が特徴的である。これらの諸言語では、主語ではなく動詞が
文の先頭に置かれる語順になるのが普通である。

台湾は小さな島であるにもかかわらず、民族的にも言語的にも
意外な多様性をもっている。

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楔形文字の解読

楔形文字入門 杉 勇著 講談社学術文庫 2006年1月10日発行
(960円)を読む。2回目

楔形文字は、エジプト古文字や漢字とともに、古代世界において
文化民族が発明使用した重要な文字の一つである。
この文字を使用した文献が豊かであるばかりでなく、その使用された
範囲も広くて、国際文字というべき性格をもっており、他の2文字に
勝るとも劣らない。

楔形文字(英cuneiform script)という語はラテン語のcuneusに由来
する。cuneiformは「楔の形を」した」の意味である。

これら3体系の文字を使用した民族は、いずれも太古における文化の
創造者であり推進者ともなって、それぞれ独自の文化を発達させ
ながら、その文字を通じて文化を四隣の諸民族に伝えた。
ただエジプトはその地理的環境のために比較的孤立性を保ち、その
文化がわりあい閉鎖的であったに比べ、楔形文字は漢字と同じ
ように広く四隣の諸民族に伝えられ、あるいはそのまま、あるいは
ややこれを変形してそれぞれの民族の言語にふさわしいように、
改変したりして、諸民族独特の言語を写し残した。

漢字がはるかに遅れて発達したのにたいして、楔形文字はエジプト
古文字とほぼ時を同じくして、発達した。楔形文字もエジプト文字も
紀元前3千年ころに用いられ始め、ともに紀元前後まで約3千年間
使用された。

楔形文字はエジプト古文字や漢字とまったく同じく、もと絵文字から
発達した。その発明者がテイグリス、ユーフラテイス両川の中流・
下流域、即ちメソポタミア地方の古住民、シュメール人であったこと
について、こんにち学者の見解が一致している。

この楔形文字は、エジプト古文字や漢字と同じように、もとは「表意
文字」であったが、やがて表音文字としても広く用いられるようになり
「音節文字」(シラブル、カナのような文字で、1字で母音と子音を
含むもの)から、「単音文字」(アルファベット、1字で1音を表す
便宜な文字)にまで発達した。
殊にエジプトで最も古くから成立し発達した1字1音のアルファベット
の原理は、のちに楔形文字では古代ペルシャ文字に、またエジプト
古文字からシナイ文字をへて、フエニキア文字に適用され、さらに
ギリシャ文字を経て、今日のローマ字やスラブ文字の起源となった。

シュメール人の発明した楔形文字は、早くからかれらの生活圏に
入ったばかりでなく、まったく言語を異にした、東セム語族に属する
アッカド人(バビロニア人、アッシリア人)にも採用された。そして
シュメール語が紀元前2000年以後から次第に使われなくなって
行くのに対し、アッカド語はますます普及し、メソポタミアの主要語
となった。メソポタニアが文明の中心となり、近隣諸国にたいし、
指導的地位をしめるようになる、紀元前16世紀のころまでには、
楔形文字はこんにちのローマ字のように、当時の国際文字となり、
アッカド語はこんにちの英語、フランス語のような国際語となった。

小アジアに建国したヒッタイト人は、アッカド語とはまったく異なる
系統のインド・ヨーロッパ語を用いていたが、かれらは自国語を
うつすのに当時の国際文字である楔形文字をあてた。

紀元前15,4世紀のころ、エジプト第18王朝の最盛期の王アメン・
ヘテプ3世と、宗教改革で有名なその子アメン・ヘテプ4世の時代に
エジプト王からアジア諸君候にあてた手紙の写しや、諸君候から
エジプト王にあてた手紙類が、アメン・ヘテプ4世の建てた都址
アマルナから1888年に発見されたが、この有名な
「アマルナ文書」も、当時の国際文字である楔形文字で書かれ、
380ばかりのうち3通を除いて全部が国際語であるアッカド語で
しるされている。

1930年までにその用語がわかっていた楔形文字は、いずれも
表意文字と音節文字(シラブル)とを併用していた点では、わが国
の漢字カナまじり文とまったく同じであった。ただエジプト古文字
だけが単音文字(アルファベット)という、言語のあらゆる音を写す
のにもっとも便宜で、最も合理的な文字の原理を発明し、文字
発達史上もっとも完成された形態をとっていた。
楔形文字のアルファベットが発見されたのは、1929年にフランス
隊が、シリア北部沿岸の町ラース・シャムラで発見した楔形文字
で、ドイツのハンス・バウアーによって解読され、これが独特の
アルファベットであることが判った。

ところで、楔形文字の解読に初めて成功したのは、ゲオルク・フリー
ドリヒ・グローテフェント(Grotefend)であった。それは1802年で
齢はわずか27歳だった。
ただし彼単独でこの偉業をなしとげたのではない。 長年にわたる
先人の研究・業績のおかげである。

イランのペルセポリス宮殿跡の碑文の文字の解読にとりかかった。
取り組み方法として
1.ペルセポリスの宮殿を築き碑文を刻んだものはアケメネス王朝
の諸王であること
2.3種の碑文は同一内容をもっており、そのうち一つが解読
できれば、その翻訳に過ぎない他の二つは自然にわかるだろう
3.これら3種の碑文はいずれも左から右へ読むべきこと
4.左上から右下への斜めの記号は語と語の区分を示す符号だ
5.第1種の書体は古代ペルシャ(アケメネス王朝)語であるべき
6.分離記号の間にしばしば10個の文字からなる語があるが、
これらの語はシラブル(音節文字)としては長すぎるから、
これらの用字は1音1字の文字、アルファベットに違いないこと
7.彼が用いた資料は、最も正確に筆写されたニーブールの写本
よった。

彼の、のちのB号碑文の訳文は「ダレイオス、勇敢な王。諸王の王、
・・・・・・、ヒュスタペスの子、世界の支配者の後継者、モロ(Moro)の
星座にある」であったが、後年の正しい訳は「ダレイオス、偉大な王、
諸王の王、諸国の王、ヒュスタペスの子、アケネメス家の、この宮殿
を建てたところの者」であった。

グローテフエンテが楔形文字を解読後、20年たった1822年9月
27日には、フランスの若き学究、フランソア・シャンポリオンによって
古代エジプトの聖刻文字ヒエログリフ(3種ある書体の一つ、漢字の
楷書にあたる)が解読された。

楔形文字の解読は1823年以後、活発に進められた。
1847年ローリンソンが「王立アジア学会誌」に発表した研究報告は、
古代ペルシャ語の碑文の写本と訳文を含むと同時に、文法・語彙・
字解をも説明したものである。グローテフォント以来、諸学者が積み
重ねてきた研究成果は、ここに結実し、こんにちにいたるまで、その
業績にもとづいて研究が続けられている。
1847年こそグローテフエンテの1802年とともに、楔形文字研究
史上に記念さるべき年である。


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言語世界地図(13) 町田 健著 新潮新書

●トルコ語
イスタンブールで話されていた言語は、1453年にオスマン・トルコに
征服されるまではギリシャ語であり、ビザンチン帝国の文化を支えて
いたが、オスマン帝国の首都となってからは、トルコ語が使われ続け
られている。
トルコ語は人口7千万を擁するトルコ共和国の公用語であり、
北キプロスやバルカン半島にも話者が存在し、このため多数の方言
に分化している。その中でもイスタンブールの方言こそが、最も威信
のあるトルコ標準語になっている。

トルコ語そのもは、アゼルバイジャン語、キルギス語、ウズベク語
など、中央アジア一帯で話される「チュルク諸語」と呼ばれる言語の
一員である。

実際トルコ語は、我々日本語と似た特徴をもっている。主語を表す
「が」に当る単語はないものの、目的語を表す「を」や、場所や道具を
表す「で」に当る接辞を名詞の直後に付けるのは日本語と同じで
あるし、述語が文の最後に来たり、形容詞が名詞の前に置かれたり
するなど、文法の面では日本語との共通点が多い。
また「母音調和」と呼ばれる現象がある。これは同じ単語の中には
発音の上で共通の性質を持った母音だけが使われて、違う性質の
母音が一緒に使われることはないという現象である。
この現象は、古い日本語にもあったとされるし、韓国語(朝鮮語)、
モンゴル語などにも観察されることから、トルコ語のアジア的特徴の
1例となる。

トルコ語が文字によって書き表されるようになったのは、トルコ人が
中央アジアからアナトリア地方(現在のトルコの領土の大半を占める
地域)に侵入した13世紀末以来である。用いられた文字は、
イスラム世界共通のアラビア文字であった。
この状況はケマル・アタチュルクによるトルコ共和国の樹立(1923)
以降一変する。

トルコ語には母音調和という重要な現象があるのに、母音を表す
特別の文字のないアラビア文字を使うのは、明らかに不便だったが、
アタチュルクは使用文字を便利なローマ字に変更した。

ヨーロッパにおけるトルコ人移民の数は、全体で3百万人以上、特に
ドイツでは2百万人に達する。
アナトリア地方をすでに紀元前20世紀には支配していたヒッタイト
王国の言語ヒッタイト語は、インド・ヨーロッパ諸語の中で、最も古い
文献を残す言語であり、ギリシャ語やインドのサンスクリット語よりも
古い。

●スワヒリ語
アフリカ南部で使われる諸言語の多くは、「ニジェール・コンゴ語族」
という分類に属している。
この語族の諸言語の中で、もっとも話者数が多い、有力な言語が
スワヒリ語である。スワヒリ語は、アフリカ中東部を中心とする広い
地域で共通語として使われており、話者数は約7千万と言われる。
タンザニアでは国語の地位にあり、ケニアでも1974年以来、
公用語に定められている。
かってはアラビア文字が使われていたが、いまはローマ字である。

ただし、スワヒリ語は実はあくまでも「共通語」であって、この言語を
母語としている人々は、ソマリア南部からモザンビーク北部に
かけてのインド洋沿岸地域に住む2百万人程度に過ぎない。
それ以外のスワヒリ語話者は、自らの母語に加えて、この言語を
使うのであり、地域によってはそれに英語が加わる。
これらの人々の多くは、スワヒリ語と同じバンツー系の言語を母語と
している。とは言え、同じバンツー系の言語と言っても多種多様で
5百以上はあり、だからこそ共通語が必要とされるのである。

アフリカ東部で使用されていたスワヒリ語は、インド洋を経由して
行われるアラビア、インド、中国などとアフリカ内陸地域との交易を
媒介する手段として、共通語の地位を獲得した。
スワヒリ語そのものの起源は明らかでないが、アラビア商人たちの
使うアラビア語とインド洋沿岸のバンツー系言語が混交した結果、
紀元10世紀以前に成立した言語だと言われている。

スワヒリ語の発音は日本語とよく似ている。しかも、英語のcatの
ような子音で終る単語はほとんどなく、日本語と同じように母音で
終るのが普通である。
ただし、日本語に「ン」ではじまる単語はないが、スワヒリ語では
「ン」に似た音で単語が始まることができる。

文法も比較的日本語に似ていて、動詞に助詞のような接辞を
つけていろいろな文法的な意味を表す仕組みになっている。
日本語には「個」や「匹」などの助数詞があって、事物を数える
時に使う分類の働きをしている。
スワヒリ語には助数詞はないが、名詞はかならず20個程度の
「クラス」のうちのどれか一つに分類され、名詞を使うときには
いつも所属するクラスを表す特別の接辞を前につけなければ
ならない。
人はtuであるが、これは人をあらわすクラスに属するから、
使う時はmtuとなる。スワヒリ語も道具を表すクラスに属していて
kiswahiliという形で用いられる。

アフリカの複雑な民族事情を考えると共通語としてのスワヒリ語
がいかに有用であるかが理解できる。

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言語世界地図(12) 町田 健著 新潮新書

●日本語
日本語が使用される地域は、海外の移民居住地域などの極めて
少数の例外を除いては、ほぼ日本に限られる。その意味で日本語
は英語のような世界語では決してないし、世界語になるには、
国家的取り組みを必要とする。

しかし、言語としての威信にかけては、世界で使用される、6千とも
7千とも言われる言語のなかで、英語に引けをとるものではない。

日本語がいつから日本列島で使われているのかは分らないが、
おそらく弥生時代には、現代のような日本語の原形は出来上がって
いたものと思われる。
ただ、我々が知ることができる最古の日本語は、「万葉集」や
「古事記」のような文献が残っている8世紀のものに過ぎない。
ところがこれらの文献は日本文学の歴史を飾る偉大な作品でもある。
つまり我が日本語は文献として登場した最古の時点で、すでに
偉大な作品を生み出す力をもっていたということなのだ。

もちろん、古代からの文化を誇るギリシャ語や中国語には
かなわないものの、現代世界で高い威信を誇る英語やフランス語
などの、西欧先進諸国の言語よりずっと早い時代に、日本語が
誇るべき作品を世に送り出していたことは事実である。
さらには8世紀以降現代に至るまで、「源氏物語」や日本作家の
著作を代表とする、世界的レベルの作品が日本語によって
書かれてきている。

このように高い威信を誇る日本語であるが、言語としての特徴と
しては極めて「普通」である。
母音が5個、子音が13個程度で、世界の諸言語のなかでは
少ない方だし、使われる母音や子音は発音の簡単なごく
ありふれた音が中心である。

日本語は「膠着語」と呼ばれる類型に属しているのだが、この類型
に属する言語は世界でも多数派だといえる。
どんな名詞でも、主語ならば「が」をつければよいし、目的語ならば
「を」をつければいい。
名詞によっての主語や目的語の場合に、いろいろな語形をとる
ギリシャ語やロシア語のような「屈折語」に比べると、まことに
規則性が高い。

動詞の語形が変化することを「活用」というが、日本語には「5段
活用」と「1段活用」の2種類がある。これらの活用も非常に規則的
であって、不規則な活用をするのは、「する」と「来る」の二つしか
ない。 英語でよく使われる動詞のほとんどが、不規則な活用を
するのに比べると、日本語の動詞の活用がいかに規則的であるか
が分るだろう。

もちろん、世界の言語の多くの言語では、使用される文字が1種類
に限られるのに対し、日本語では漢字、ひらがな、カタカナという
3種類の文字が使用されるから、表記の面では、日本語は複雑な
特徴をもつ。
しかし字形の複雑な漢字が、名詞や動詞と言う文章中での主要語
の表記に当てられるため、漢字を目で追えば、内容があらかた
掴めるという利点もある。

したがって、日本語は全体として、いったん規則を習得すれば、その
規則に違反する例があまりでてこないような、比較的覚えるのが
やさしい言語だということができる。

高い威信をもつ文化を背景とし、経済的にも世界をリードする国家で
ある日本の言語としての日本語は、世界語として機能する資格を
十分に備えているだろう。

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言語世界地図(11) 町田 健著 新潮新書

●韓国語(朝鮮語)
日本語の標準語は、雨ならば「あ」が高く、「飴」ならば「め」の方が
高いというように、単語にはそれぞれ決まった音調の高低があって、
これを「アクセント」と呼んでいる。ソウル方言に基づいている韓国語
の標準語にはこのようなアクセントの区別がなく、全体として平板
なのである。

一方で、釜山の方言にはアクセントの区別がある。
アクセント以外にも、日本語と韓国語の音にはかなりの相違があり、
全体としては韓国語の発音は日本人にとって少し難しい。
母音の数は8個で日本語よりも多い。子音については、「平音」という
日本語と同じ種類の子音のほかに、「濃音」と「激音」の区別がある。

ところが音とは違って文法のほうは、日本語と韓国語では驚くほど
似ている。というより、ほとんど同じだと言っても過言ではない。
外国人には説明の難しい「は」と{が」の区別と同じものが、韓国語
にもあるし、動詞の後に助動詞がいくつか並んで、最後に終動詞が
置かれる語順のしくみも共通である。

韓国語にも日本語と同じかなり複雑な敬語があり、これも両言語で
共通している。

日本語と韓国語の文法がよく似ていることから、両言語の祖先は
同じなのではないかと考えるのは、自然の成り行きである。
しかし、祖先が同じだということを証明するためには、基本的な単語
の意味と語形がよく似ている必要がある。
ところが、日本語の「人」や「イヌ」が韓国語では(sa:ram),(ke:)である
ことからも判るように、両言語の基本語は全然似ていない。
隣接した地域で使われているのだから、祖先が同じである可能性は
勿論あるのだが、言語学的にはその証明はできないと言える。

韓国で話される「韓国語」と北朝鮮で話される「朝鮮語」とは、方言的
な差異が若干あるだけで、同じ言語である。
15世紀に作られた固有の文字「ハングル」を用いて書き表される。
日本語と同じで、中国語から取り入れた大量の漢語が使用さるが、
現在では両国とも、漢語を記すために漢字を使うことはほとんどない。
それにもともと、日本語の「訓読み」に当る漢字の使い方は、朝鮮
半島の言語にはなかった。

韓国と北朝鮮を合わせると人口は7千万を超え、中国の延辺朝鮮族
自治州などに住む話者約180万を合わせると、この言語の使用者は
イタリア語やフランス語の話者と同じくらいになる。世界でも有数の
大言語だと言えるだろう。

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言語世界地図(10) 町田 健著 新潮新書

●広東語
2005年9月に東京、パリに続いて香港デイズニーランドが開演した。
香港の公用語が中国語なのは当然だが、英語も依然としてもう一つ
の公用語であり続けている。ただし香港の住民で英語が不自由なく
使える人は3割程度に過ぎない。
圧倒的多数の香港人が日常的に話すのは「広東語」なのであり、
中国の標準語である「普通話プートンフオア」ではない。

中国への返還後は、小中学校での普通話教育が盛んになってきて
おり、公共施設や地下鉄車内などの放送では、普通話での
アナウンスも目だってきた。
とは言え、香港の事実上の第一言語は広東語であって、普通話は
あくまでも第2もしくは英語に続く第三の言語としての地位を占める
に過ぎない。

標準語としての普通話は、首都北京の方言である北京語に
基づいて、1956年に制定されたものである。
広東語も北京語と同様に中国の方言とされているが、相互に通ずる
ことはない。

中国語の諸方言は、相互理解が非常に難しく、この点では
イタリア語、フランス語、スペイン語のような、起源は同じで似ては
いるが、異なった言語だとみなされるロマンス諸語と同様の特徴を
もっている。

広東語は、香港だけでなく、広東省南部・西部、広西チワン族
自治区、マカオなどの地域で使用されており、さらに東南アジアを
中心として世界各地に居住する華僑のおよそ4割が広東語話者
なので、全体としては世界中でおよそ8千万人の話者を擁すると
推定される。
8億人以上の話者をもつ北京語とは比べものにならないが、世界
経済・文化への影響も大きい香港の言語であり、他の中国諸方言
と違って、テレビ、ラジオ、新聞などのメデイアでも広く用いられて
いることから、北京語に次ぐ威信をもつ中国語方言だということが
できよう。

中国語の特徴として有名なのは、一つの音節の内部で、音調の
高さが変化する「声調」をもっていること。
北京語の声調は4種類だが、広東語の声調は6種類もある。
また北京語とは違って、母音の長さに区別があったり、古代
中国語にはあったが、北京語では消滅した種類の音節が広東語
にはまだ残っている。

広東語と北京語は、一部に語順の違いなどが認められるけれども
基本的には文法のしくみは同じである。したがって同じ意味を表す
のに同じ漢字をあてれば、広東語でも北京語でも同じ文を書く
ことはできる。しかし漢字の発音は双方で相当に異なっているから
書かれた文が同じであっても、発音されるとお互いに理解する
ことは難しい。

しかも、北京語以外の中国諸方言の中で、香港の広東語だけは
独自の表記法をもっている。使用される文字が1956年に採用
された標準語の「簡体字」ではなく、「繁体字」と呼ばれる旧来
からの字体である。
正式な書面は譜通話で書かれるが、雑誌記事や漫画などでは、
口語の広東語をそのまま表記した文章が見られる。
また、普通話にはない広東語特有の単語を書き表すために、
独特の漢字が作られてもいる。

中国という国家を代表する言語は、普通話であることに疑いの余地
はない。しかしながら中国13億人は、実際は多様な文化と言語を
背景とする人間の集合体である。
広東語の祖先は、秦を倒した項羽の故事で有名な楚の方言からの
影響を受けたとも言われている。

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言語世界地図(9) 町田 健著 新潮新書

●ヘブライ語
ヘブライ文字を使う言語としては、ヘブライ語とイデイッシュ語がある。
ヘブライ語はユダヤ人固有の言語であり、イデイッシュ語は中世の
東ヨーロッパに住んでいたユダヤ人たちが、ドイツ語をもとにして、
ヘブライ語、スラブ語などを混交させて作りあげた言語である。

ヘブライ語は、アラビア語やエチオピア語と同様、セム諸語に属する
言語であり、イデイッシュ語は、基本的にはインド・ヨーロッパ語族の
仲間であるから、同じユダヤ民族がヘブライ文字を用いて書き表す
言語でも、両者の起源は異なる。

ヘブライ語の書き順は右書きである。イデイッシュ語もヘブライ文字
を採用しているせいか右書きとなっている。

ヘブライ語は「旧約聖書」を記した言語で、中性ヨーロッパでは
神聖な言語とされ、人類の言語の最も古い祖先に当る言語だと
考えられたこともある。もちろん人類最古の言語など分らない
のだが、「旧約聖書」は紀元前13世紀から、ほぼ千年に渡って書き
続けられた結果、紀元前2世紀頃に成立したものであり、ヘブライ語が
3千年以上の歴史を持つ由緒ある言語であることは間違いない。

「ヘブライ」という名称は「放浪者」を意味するヘブライ語ivriに由来し、
これがギリシャからローマに伝わって、ラテン語でHebraeiになり、
ユダヤ人の一般的名称として使われるようになった。現代のヘブライ
語ではivriと言い、ヘブライ語はivritと呼ばれる。

ヘブライ語はいまも、ユダヤ人の故郷パレスチナ地方で、継続的に
使われ続けてきてはいる。しかし、紀元前6世紀の「バビロン捕囚」
以後は、同じセム系の言語であるアラム語が、パレスチナに進出し
紀元前3世紀頃には、日常生活で話す言語はアラム語になっていた。
ただ、ヘブライ語が消滅したわけでなく、宗教・儀礼用の言語として、
主として書き言葉のレベルで使用され続けた。

ローマ帝国がユダヤ王国を滅亡させ、ユダヤ人の流浪の歴史が
始まる紀元後2世紀頃には、ヘブライ語を話すユダヤ人は最早
いなくなった。
しかし、世界各地に離散し定住したユダヤ人たちは、民族の象徴と
してのユダヤ教とヘブライ語を捨て去ることはなかった。日常生活で
話す言語は、居住している国の言語であったにしても、ヘブライ語は
文字言語として2千年近く生き続けたのである。

話言葉としてヘブライ語が復活するのは、19世紀になってユダヤ人
のパレスチナへの入植が開始されてからである。世界各地から
集まったユダヤ人たちが、意思の通じ合う言語として選んだのが
ヘブライ語なのは当然である。ただし、「旧約聖書」のヘブライ語
では、単語数が足りず不適当である。
近代ヨーロッパ諸言語やアラビア語などの語彙を取り入れたり、
新しい単語を作ったりして改革することで、実用に耐えるように
したのが、ベン・イエフーダという学者であった。

こうして、第一次大戦後は、イギリス統治下のパレスチナで、
ヘブライ語は公用語となり、現代ではアラビア語も公用語である。
また、同国には英語が広く普及していて、国内のどこでもほぼ
無理なく通じるという。

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言語世界地図(8) 町田 健著 新潮新書

●アラビア語
アラビア語はもともとアラビア半島で使われていた1言語に過ぎ
なかった。しかし7世紀にこの半島でイスラム教が生まれて以来、
この宗教の興隆とともに、西は北アフリカ地域、北はイラク、シリヤ
へと使用地域が拡大することになった。
現在アラビア語を使用する人口は2億5千万人以上であり、国連の
公用語でもある。

アラビア語はヘブライ語、エチオピア語と同様、アフロ・アジア語族
のセム諸語に属する言語である。

イラク方言、シリヤ方言、アラビア半島方言、エジプト方言、
北アフリカ方言など、いくつもの方言に分化しており、同じアラビア語
といっても、方言間にかなりの差異が認められる。
シリアとアルジェリアのように離れた地域で使われる方言であれば、
お互いに意思が通じ合えない。

アラビア語の特徴として重要なのは、日常生活で使われる口語と、
「コーラン」の文章に代表される文語に大きな違いがあるこてである。
例えば「靴」は文語では、「ヒザーウン」のような語形だが、口語の
エジプト方言では「ガズマ」のような形である。
単語でけでなく文法も異なっており、文語の語順が「動詞+主語+
目的語」であるのに対し、口語は「主語+動詞+目的語」が基本
である。

アラビア語の文語は8世紀半ばに始まるアッバース朝の時代に
規範が確立された古典アラビア語を基礎としており、現代まで
大きな変化は生じていない。文語に関しては、アラビア語使用
地域全体でほぼ共通であって、この共通の文語を通じて、イスラム
世界の「汎アラビア主義」が実現されているのである。

文語であるから、書き言葉として用いられるのは当然だが、それ以外
でも、テレビ、ラジオの放送、大学の講義、政治演説、宗教儀式の
場面では、共通語としての文語を用いて話されている。
アラビア語を話す場合、公的な場面と日常生活で、文語と口語と
いう2種類の異なったアラビア語が使い分けられており、日本や
欧米諸国などとは言語の使用状況を異にしている。

文字は「アラビア文字」である。横書きであるが右から左へ書くこと、
母音を表すための文字がないこと、五頭、語中、語末で異なった
字形を用いることなどが、アラビア文字の主要な特徴として知られ
ている。
現在ではローマ字を用いているトルコ語、マレー語、スワヒリ語
なども、かってアラビア文字で記されていた。
アラビア文字は、アラビア語だけでなく、ペルシャ語やパキスタンの
ウルドウー語などを書き表すために用いられている。

言語としてのアラビア語の最も重要な特徴は、「語根」と呼ばれる
三つの子音からなる単語の基本形をもとににして、さまざまな意味
を表す語形を作ることである。
例えばk-t-bは「書く」とう意味を表す語根であるが、これをもとに
して、kataba(書いた)、yakutubu(書く)、kitab(本)、kutubi(本屋)、
katibu(作家)などたくさんな単語を作りだすことができる。

ギリシャ文明は古代で栄えたあと、中性ヨーロッパで伝統が
ほとんど断ち切られた。ギリシャ文明の成果を、アラビア語への
翻訳という形で継承し、近代に伝えることに貢献したのはイスラム
世界である。我々がイスラム、その言語であるアラビア語に負う
ものは大きい。

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言語世界地図(7) 町田 健著 新潮新書

●ペルシャ語
イランの公用語はペルシャ語である。「ペルシャ」という名称は、
アケメネス朝やササン朝のペルシャ帝国に由来するもので、もともと
アケメネス朝時代の「パールサ」という地名を起源とする。
「イラン」という名称は、1979年にイラン革命で廃されたパフラビー朝
が、1935年に正式に国名として採用したもので、語源的には
「アーリア」(高貴なという意味)に由来している。

ペルシャ語の話者の大多数、約3千5百万人はイラン国民の約半数
にあたるが、この言語はアフガニスタンやタジキスタンでも話されて
いる。国が違うためそれぞれ「ダリ-語」、「タジク語」と呼ばれて
いるが、言語的にはペルシャ語と同一だと見なされる。
インド・ヨーロッパ語族の言語である。

クルド語や、アフガニスタンのパシュトン語と近い関係にあり、インドの
ヒンデイー語、パキスタンのウルドウー語などと共に、「インド・イラン
諸語」と呼ばれるグループを形成している。
アラビア語は系統も特徴も異なる言語であり、ペルシャ語との相互
理解はできない。

古くからイスラム文化圏に属しているため、言語的にはヨーロッパ系
であっても、文字は、現代ではアラビア文字であり、アラビア語と
同様に横書きで右から左に向けて書き記される。
ただし、ピストウン(ベヒスタン)碑文など、紀元前6世紀から4世紀に
かけて、古代ペルシャ語が書かれた碑文の文字は、「楔形文字」だ。
ササン朝時代の中期ペルシャ語はパフラビー文字と呼ばれる。
パキスタンで使われるウルードー語もアラビア文字で記される。

一方、言語的には極めて類似していながら、インドで使われる
ヒンデイー語は、古代サンスクリット語以来のデーバーナーガリー
文字(梵字)で記される。

古代ペルシャ語は、名詞や動詞が、その文法的変化に応じて
複雑に変化する屈折的言語で、サンスクリット語や古典ギリシャ語、
ラテン語など、古いインド・ヨーロッパ語に共通の特徴を示していた。

ところが現代ペルシャ語は、これとは全く異なった様相を呈する。
名詞は英語と同じく複数を表すために、特別の語尾が付け加え
られるだけである。男性や女性といった性の区別や、主格、目的格
など格による語形変化は失われている。
動詞についても、主格の人称や時制・法などによる語形変化は
あるものの、古代に比べて大幅に単純化している。
ペルシャ語が辿った単純化は、7世紀にイスラムに教化した際に、
同じように発音が比較的単純なアラビア語の影響を受けている。


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言語世界地図(6) 町田 健著 新潮新書

●ギリシャ語
最も古いギリシャ語の文献は、紀元前14世紀頃に「線文字B」と
呼ばれる文字で書かれたもの。 この文字で書かれた文献は
クレタ島のクノッソス宮殿やギリシャ本土のミケーネで出土して
いるが、商取引の覚書程度の内容であり、この当時のギリシャ語の
全貌を伝えるものではない。

αβγなどのギリシャ文字で綴られた真性の古典ギリシャ語最古の
文献は、ホメーロスの叙事詩「イーリアス」と「オデッセイアー」であり
紀元前8世紀頃の作とされる。
最古の文献が、世界文学最大の古典の一つだというのだから、
ギリシャ語はやはり登場したときから偉大なのだ。

ギリシャ語は、アテネを中心とし、古代ギリシャ文明を担った都市
国家群で使われて以降、ヘレニズム文化そしてビザンチン帝国の
言語として存続し続ける。

紀元後1-2世紀に作られたとされる「新約聖書」は、ヘブライ語で
書かれた「旧約聖書」とは違い、最初からギリシャ語で書かれた。
ビザンチン帝国が15世紀にオスマン・トルコに滅ぼされてからも、
ギリシャ語は現在まで使い続けられている。

判っているだけでも、3千4百年以上にわたって、東地中海地域で
使われているギリシャ語は大きくは文語と口語に分かれる。

文語のギリシャ語は、ピタゴラスやプラトンの古典時代から、
20世紀に至るまでほとんど変化しなかった。
古典期以後、ヘレニズム時代に東地中海世界で共通語として
使われたギリシャ語は「コイネー」と呼ばれ、「新約聖書」も、この
共通語で書かれているが、それ以前のギリシャ語と基本的に
変わりはない。

古典ギリシャ語の特徴は、名詞や動詞が非常に複雑な活用をする
ことである。名詞は主語、直接・間接目的語、所有などの働きに
応じて語形を変えるし、動詞は主語の人称・数、時制さらに能動態か
受動態かなどに従って活用する。しかも、よく使われる動詞の殆どが
不規則動詞であり、文法的働きに応じた語形をいちいち覚えておか
ないと、ちょっとした文章でも意味を理解することは全くできない。

口語のギリシャ語は「民衆語」と呼ばれ、19世紀にトルコから独立
した後も、文語にたいしては、低い位置に置かれ続けた。
口語とは言え、言語としての特徴は文語と大きくは変わらない。
文語では文字と発音の関係がほぼ一定しているが、口語では、
長い間に発音が変化したため、つづりを見て、発音を正しく予測する
のが少し難しい程度である。
民衆語はその後、書き言葉としての地位を獲得し、現在では、
ギリシャ共和国の公用語として1千万国民に使われている。

★アナトリア地方をすでに紀元前20世紀には支配していた、
ヒッタイト王国の言語ヒッタイト語は、インド・ヨーロッパ諸語の中で
最も古い文献を残す言語であり、ギリシャ語やサンスクリット語より
も古い。紀元前17世紀にさかのぼる時代の記録を残している。

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言語世界地図(5) 町田 健著 新潮新書

●アイルランド語
アイルランド国民400万人の大多数は日常的に第二公用語である
英語を使用する。アイルランド語を話すことができるひとは、70万人
程度。これのみを日常的に使用する人口は約6万人に過ぎない。
英語なしにはアイルランドという国は成り立たない。

アイルランド語は「ケルト語」と呼ばれるインド・ヨーロッパ語族の一派
に属する。かってはヨーロッパ大陸全域に広がって使用されており、
紀元前8世紀から6世紀頃に、ブリテン島やアイルランド島にも進出
したらしい。
紀元前1世紀にカエサルがガリアを征服したとき、このガリア地域の
住民が話していた言語は「ガリア語(ゴール語)」と呼ばれる
ケルト語であった。
ローマに征服された後、ガリアの住民はガリア語を捨て、ラテン語を
話すようになる。こうしてケルト諸語はブリテン島の西部(ウエールズ
語とコンウオール語)やアイルランド島などへ追いやられた。

現存するケルト語の中で最も古い文献を残すアイルランド語は、単語
の最初にあるpやtが、fやthの音にに変化する「緩音化」という現象や
動詞が文頭に置かれる語順など、他のケルト語と共通の注目すべき
特徴を示す。祖先を同じくする英語とは著しい相違である。
英語が属するゲルマン諸語と、アイルランド語が属するケルト諸語が、
紀元前のかなり早い時期に、祖先の言語から分化したことが考え
られる。もう一つは、日本語と朝鮮語の場合と同じく、たとえ隣接して
いても、相互に影響を与え合うことがなかったということがある。

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言語世界地図(4) 町田 健著 新潮新書

★フインランド語
スエーデン語もロシア語も、インド・ヨーロッパ語族の言語であるのに
対し、フインランド語はこれらの言語とは祖先が違っていて、「フイン・
ウゴル諸語」と呼ばれる1派に属している。
同じ仲間の言語としては、エストニア語やハンガリー語がある。また
ノルウエー北部からロシアのコラ半島の地域で話されているラップ語
と呼ばれる言語も同じ一派に属する。

フインランド語がこの地で使われるようになったのは、紀元前12世紀
頃だと言われている。ローマの建国は紀元前8世紀ころだということ
になっているから、それよりずっと古い時期に、すでにフインランド語
はヨーロッパ大陸で話されていたことになる。
ただし、フインランド語で書かれた最古の文献はようやく16世紀半ば
になって現われたに過ぎない。

12世紀にスウーデンの支配下に入り、スウエーデン支配の影響は
今でも残っていて、ボスニア湾やフインランド湾の沿岸地域では、
いまだにスウエーデンごが使われている。このため、スウエーデン語
はフインランド語と並ぶ公用語である。

フインランド語は日本語と同じ「膠着語」と呼ばれるタイプに属し、名詞
や動詞の後には、日本語の助詞や助動詞と同じような働きをする
「接辞」という単位をいくつか並べることで、さまざまな文法的な意味を
表す。
もっとも日本語とは違って名詞にも活用があり、「家が」はtaloであるが、
「家のなかで」はtalossa,「家の中へ」はtaloon,「家から」はtolostaと
なる。
動詞も主語の人称や数、さらに時制によってかなり複雑な活用をする
ので、この点ではヨーロッパ諸言語と似ているとも言える。
語順も日本語とは違って「主語+動詞+目的語」が基本である。

もう一つ「母音調和」と呼ばれる現象がある。これは、母音が二つとか
三つの種類にグループ分けされていて、一つの単語のなかには同じ
グループに属する母音しか使われないという現象である。要するに
一つの単語に複数の母音を使う場合は、発音の似ている母音を
選んで発音を楽にする仕組みだといえる。
この現象はトルコ語や韓国語には今でも見られるし、古い日本語にも
あったとされ、アジア風の特徴と言えるかもしれない。

●ハンガリー語
「ハンガリー」という国名は英語でそう呼ばれているだけであって、
ハンガリー人は自身を「マジャール」と呼ぶ。ハンガリー人はウラル
山脈周辺から現在の地に移動してきた民族とされる。
東方からヨーロッパに侵入してきた「フン族」と関係があるように思わ
れるが事実は違う。共存していたオノグル族の国「Ungaria]から
由来するものだとされる。

ハンガリー語は系統的には、フイン・ウゴル諸語に属する言語で、
フインランド語やエストニア語と同じ仲間である。
1956年のハンガリー動乱以来40万人以上がアメリカに亡命・移住
したという。

ハンガリー語に使われる文字はローマ字である。ただしローマ字だけ
では表示できない音を表すために、母音の上にアクセント符号を
つける。日本語と同じ膠着語であり、名詞の後に助詞に当る単語や
接辞を置いたり、動詞の後に、受身や使役を表す接尾辞を続けたり
する特徴は、日本語に似ている。
但し、つかわれる音の数は日本語より多い。
また、英語と同じように、名詞の前に定冠詞や不定冠詞をおく点で、
日本語ともフインランド語とも異なる。

珍しい特徴として、動詞の目的語が特定のものか、不特定のものか
で、動詞が変化することがある。例えば「待つvar」の1人称単数現在
ではvaromとなり後者の場合varokとなる。

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言語世界地図(3) 町田 健著 新潮新書

★ドイツ語 中欧の主役
ドイツ本国ではDeutschだが、英語ではGerman、フランス語では
allemannd、スペイン語ではaleman、イタリア語ではtedescoと呼ば
れる。英語は「ゲルマン人」に由来する語形だが、フランス語と
スペイン語での呼び名は、ゲルマン人の一部族である「アレマン族」
に由来する。

一方、Deutschとイタリア語のtedescoの意味は元来は「民衆」という
意味を表していた古いドイツ語のthiudiskaという語を起源とするもの
だと言われており、ある特定の地域の名称をもとにした言語名では
ない。中世ヨーロッパの文語であるラテン語とは異なる「民衆の」
言葉ということで、こう呼ばれるようになったとされる。

このようにドイツ語という言語の呼び名がヨーロッパ各国で異なる
のは、ドイツ語を話す民族が中心となって統一国家を形成することが
できたのが、やっと19世紀になってからだったという事実が原因で
あろう。

ドイツ語はドイツだけでなく、オーストリア、リヒテンシュタインの唯一
の公用語であるほか、スイスでは全人口の約65%が使用している。
ルクセンブルグ、ベルギー、イタリアでは公用語の一つである。
アメリカ大陸に移住したドイツ系移民を含めると、全世界では1億
2千万人に上り、日本語を使用する人口とほぼ同じである。

戦後になっても、大学で学ぶ第2外国語としてドイツ語が圧倒的に
多かった。近年は中国語に押されて、ドイツ語選択の学生は激減
している。

ドイツ語は英語やオランダ語、北欧諸語などと同じ「ゲルマン諸語」
に属するが、英語よりもゲルマン語の古い特徴を残している。
名詞や冠詞が、主語や目的語あるいは所有などの働きに応じて
語形を変えるという特徴もその一つである。

★オランダ語
日本の鎖国の時期に西洋との交流はオランダを通じてしか行われ
なかったから日本とオランダの関係が当時密接だったことは当然
である。「蘭学」と呼ばれた学問は、西洋科学のほとんどあらゆる
分野を包括するものであった。
幕末から明治維新以降は、他の西欧諸語に押されて、オランダ
との関係は漸次弱まった。

オランダ語はインド・ヨーロッパ語族に属し、ドイツ語や英語と同じ
「ゲルマン諸語」の仲間だ。特にドイツ語に非常によく似ており、
同じ一つの言語の方言同士と言ってもいいくらいである。
ただしドイツ語の名詞では、男性、女性、中性という三つの性が
区別されるのに、オランダ語は男性と女性が合流した「共性」と
「中性」しかない。
主語や目的語など名詞の文法的働きに応じた語形変化がない。
人称、数、時制などによる動詞の語形変化がドイツ語よりもずっと
単純なことなど、ドイツ語よりも英語に近い側面もある。

「ありがとう」はドイツ語ではDanke,英語ではThank you,
オランダ語ではDank u.だ。
彼はビールを飲むはドイツ語だとEr trinkt Bier.英語だと
He drinks beer.であり、オランダ語ではHij(ヘイ) drinkt bier.
となる。こうした例を見ると、オランダ語がドイツ語と英語の中間に
位置するような特徴をもっていることが判る。

オランダ語は英語と違って、つづりと発音がほぼ一致しており、
hijを「ヘイ」と読むような、文字と発音の関係を知りさえすれば、
書かれた文字を正しく発音することは難しくない。
一つだけ意外なのは、gの文字が「ヘー」とよばれるように、
日本語の「ガ行」の子音に当る音がないことである。画家Gogh
の発音は「ホーホ」のような発音になる。

オランダでは約1600万人が使用し、ベルギーに約600万人の
使用者を持ち、旧植民地南米のスリナム(人口50万)の公用語
でもある。
また南アフリカおよびナミビアで広く使用されるアフリカーンス語
も、植民者の言語オランダ語を基礎とし、マレー語や現地諸語
との混交により作られた言語である。

ちなみに、「オランダ」という日本での名称は、この国の中心地域
「ホラント地方」のポルトガル読みに由来する。オランダ語では
自国を「ネーデルラント」と呼ぶ。

★スカンジナビア諸語
スウエーデンの国語はスウエーデン語だが、この言語は隣国
ノルウエー語、デンマーク語と非常に似ており、それぞれの言語
を話しても互いに通ずる。従って同じ一つの言語の方言と言っても
よいくらいだ。

たとえば、遊ぶはleka(ス)、leike(ノ)、lege(デ)だし、買うは
kopa(ス)、kjφpe(ノ)、kφbe(デ)であって、全く同じ語形では
ないにしても、大変似ている。
スカンジナビア語の話者は全体で2千万人程度となり、かなりの
大言語である。

スカンジナビア諸語は、英語やドイツ語、オランダ語などと同じ
「ゲルマン諸語」に属している。英語やドイツ語が「西ゲルマン語」
に属するににたいし、スカンジナビア諸語は、アイスランド語や
デンマークのフエロー語(フエロー諸島)と共に、「北ゲルマン語
(またはノルド語)を形成している。

ドイツ語の「買う」がkaufenであることからも、スカジナビア諸語と
ドイツ語は、単語の面では共通点も多い。
一方で、ドイツ語にある男性・女性・中性という名詞の性の区別が
共性と中性の二つに減少したり、「接続法」と呼ばれる動詞の形が
消滅するなど、英語と同じような文法組織の単純化もみられる。

独特の特徴は、英語のtheにあたる定冠詞が、名詞の後につけ
られ名詞と一体になること。これは「後置定冠詞」と呼ばれ、
ブルガリア語やルーマニア語などのバルカン諸語にも見られる。

スキーやスローラム、モーグルなどはノルウエー語である。


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言語世界地図(2) 町田 健著 新潮新書

シリーズ2回目
●セルビア語・クロアチア語
旧ユーゴスラビア時代には「セルビア・クロアチア語」という一つの
言語だとされていた。旧政権下で無理に一つのまとめられていたの
ではなく、実際に同じ一つの言語の方言だとみなすことができるほど、
類似している。語彙の面で若干の相違は見られるものの、音であれ、
文法であれ、両言語にはほぼ相違はない。

セルビア人の宗教が東方正教系、クロアチア人の宗教がカトリックで
あることで、セルビア語の表記にはキリル文字が、クロアチア語に
ついてはローマ字が使われるが、文字の違いは言語的性質の違い
とは関係ない。
隣国の「ボスニア語」についても、現時点ではセルビア語の一方言と
見るのが妥当である。
もう一つの共和国モンテネグロでは公用語はモンテネグロ語とされて
いるが、言語としてはセルビア語、クロアチア語と変るものではない。

コソボの言語は隣接する本家アルバニアと同じアルバニア語である。
アルバニア語はセルビア語やクロアチア語が属するスラブ諸語と
同様にインド・ヨーロッパ語族に属す言語だが、スラブ諸語との関係
は薄い。アルバニア語だけで孤立した語派を形成している。

●チェコ語・スロバキア語
1918年から93年まで一つの国家であったこともあり、連邦が解消
されたものの、お互いに仲がわるいということではない。
中世以来チェコはドイツの支配下にあったのに対し、スロバキアは
千年にわたりハンガリーの支配を受けており、文化的背景は
それぞれに異なっている。 両国を構成する民族も違う。

チェコ語とスロバキア語はインド・ヨーロッパ語族のなかでも、スラブ
諸語に属し、さらにはポーランド語などと同じ西スラブ諸語に属する
言語であり、二つの言語だと看做す必要がないほど、よく似ている。

チェコ語もスロバキア語もスラブ系の言語であるが、使用される文字
はキリル文字ではなく、ポーランド語などと同じローマ字である。
スラブ語は、名詞がその働きに応じて複雑に活用する。

●ポーランド語
ポーランドでは5年に1回、権威あるピアノ・コンクール「ショパン・コン
クール」が開催される。
ポーランドは10世紀にカトリックを受け入れて以来、スラブ人の国で
ありながら、西ヨーロッパ諸国との文化的交流が盛んであった。
この言語は国内で3800万人、海外を含めると4300万人の話者を
もつかなりの大言語。アメリカには約1千万人のポーランド系住民が
いる。

文字は、ロシアやブルガリアなどが用いている「キリル文字」と違い、
ローマ字である。もっともキリル文字が新しく作られたのは、スラブ語
特有の音をうまく書き表す必要があったからである。従ってポーランド
語も、ローマ字を使うにしても、一つの音を表すために、複数の字を
組み合わせたり、字の上に特別の記号をつけたりしている。

スラブ語に属するだけあって、ポーランド語は名詞や動詞が複雑に
活用する。主語や目的語を区別するための名詞の活用形を「格」と
呼ぶが、ポーランド語には格が七つもあり、さらに男性・女性・中性
という名詞の性と、単数・複数の区別もあり、名詞が複雑に活用する。
その上、男性名詞は、人間・生物・無生物の3種に区別される。
動詞も、現在・過去・未来の時制や数・人称によって活用形が異なる。

10世紀にカトリックの国として出発して以来、ポーランドの正式な
書き言葉はラテン語だったから、ラテン語由来の外来語が多い。

ポーランドはわが国では悲劇の国というイメージが強い。しかし文化
的にはまことに魅力的な国である。

●ロシア語  2億5千万の言語使用者
ロシア語は、インド・ヨーロッパ語族スラブ語派に属する言語である。
ベラルーシ語、ウクライナ語とともに、東スラブ諸語を形成している。
ベラルーシ語とウクライナ語はロシア語と特徴が非常に似ている。
もともとスラブ語は全体としてよく似た言語の集団なのであり、
西スラブ語のポーランド語、チェコ語、スロバキア語などでも、ロシア
語の話者ならば大体のところは聞いて判るという。

ただし同じスラブ語といっても使われている文字は同じではない。
ロシア語を始めとする東スラブ語はキリル文字、西スラブ諸語は
ローマ字。南スラブ諸語のブルガリア語、セルビア語、マケドニア語
はキリル文字。クロアチア語、スロベニア語はローマ字。
文字の違いは主として宗教の違いによる。

キリル文字は、ギリシャ語の福音書をスラブ語に翻訳するために、
ギリシャ文字をもとにして、9世紀頃に作られた文字である。
ギリシャ人の僧侶キュリロスとメトデイオスによって考案された文字
だとされ、ここから「キリル」という文字名が由来しているが、異説も
ある。

ロシア語は現代ヨーロッパ諸語の中では、名詞の活用が最も複雑な
言語の一つである。英語やフランス語と違って、主語、直接目的語、
間接目的語、所有、道具など、その働きに応じて、名詞は活用し、
名詞の性も男性・女性・中性と三つある。

●バルト3国  ラトビア語とリトアニア語
ラトビア語とリトアニア語はインド・ヨーロッパ語族の「バルト諸語」に
属する言語で、周辺のロシア語やポーランド語が属するスラブ諸語に
近い関係にあるが、独立した語派を形成している。エストニア語は
フインランド語と同じ「フイン・ウゴル」諸語に属しており、ヨーロッパ
諸語には属していない

リトアニア語は、名詞の格が七つもきちんと区別されていることで
有名である。このような区別はインドの古典語であるサンスクリット語
に匹敵するもので、この点でリトアニア語は、ヨーロッパ諸語の最も
古い特徴を現在にまで残す珍しい言語だと言える。


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言語世界地図(1) 町田 健著 新潮新書

世界に存在する言語数は7千にも及ぶ。単純に計算すると、一つの
国で何と30以上もの言語が使われていることになる。その中から
46の主な言語が取り上げらている。

成り立ち、使われている地域、話者数、独自の民族文化を徹底ガイド。
言葉を使うとは、単に他者に意味を伝達するだけではない、社会的な
アイデンテイテイーを表すことでもある。言葉の奥深さ、多様さ、
面白さ、社会情勢にかかわる背景などが紹介される。

英語は世界帝国を築いたイギリスと文化的・経済的に現代世界に
大きな影響力をもつアメリカの言語であったという、偶然的な理由で
世界の共通語として現在使われているに過ぎない。伝達力の点では
すべての言語は同等なのであって、英語が言語として優れている
などということは、決してない。
英語という言語は、どちらかと言えば、世界の諸言語の中でも、
珍しい特徴をそなえた、いわば「異端」の言語である。

英語に比べれば、私たちの日本語のほうが、全体としては
「まっとうな」性格をもった言語といえる。
英語と同じように世界に通ずる共通語として、機能する資格は
十分にある。しかし、政治、経済、文化のどの面をとっても、日本の
影響力はアメリカに及ばない。これが主たる理由となって世界語に
なることができない。

各言語の面白い事実を取り上げて書いてみる。

●イタリア語  フイレンツエ方言が標準語に
イタリア語はローマで使われていたラテン語の末裔である。現代
イタリア語の標準語はローマ方言ではなく、トスカーナ地方の
フイレンツエ方言がもとになっている。
ローマには教王庁はあっても、実質的支配をイタリア全土に及ぼして
いたわけではないから、ローマの方言が各地に浸透することは
なかった。

13世紀になると、この国でいち早くルネサンスの活動が始まる。
その中心地はローマではなく、メデイチ家の支配するフイレンツエで
あった。
この都市に属するトスカーナ地方の方言で書かれたのが、ダンテの
「神曲」であり、ボッカチオの「デカメロン」であった。これ以降、イタリア
文化に対するフイレンツエの優位は決定的となり、書き言葉としては
標準語としての地位を獲得した。
しかし話言葉のレベルで全土に標準語が普及するには、19世紀
後半に国家の統一が実現してから。

●ポルトガル語
種子島に鉄砲を伝えたのはポルトガル人だったし、イエズス会宣教師
ザビエルは本人はスペイン人だったが、ポルトガル国王に派遣され
来日した。

ブラジルのポルトガル語と本国のポルトガルの間には、発音や語彙の
面で、若干の差異があるだけで、殆ど同じと言ってよい。
ポルトガル語にはスペイン語にない特徴もある。鼻にも空気を通して
発音される「鼻母音」と呼ばれる音が目立つ。
同じような音は」フランス語でも使われている。ポルトガル語の鼻母音
はフランス語より種類が多い。

文法の面では、不定詞に語尾をつけて、不定詞の主語を表す特徴が
ある。これは他のロマンス諸語に見られない独特の方法だ。

ブラジル在住の日系人は約140万人、日本に居住する日系ブラジル
人は31万人。今年は日本移民100周年にあたり、皇太子が各種
記念祭に出席する。ブラジレーロになった日本人の記事が新聞に
沢山でており、興味深く読む。

ポルトガル語を公用語とする国々
モザンビーク、アンゴラ、サントメ・プリンシペ・ギニアビサウ、
カーポベルデ

●スペイン語 3億5千万人の存在感
スペインのあるイベリア半島は、紀元前3世紀にはすでにローマによる
殖民が始まっていたので、本家のイタリア語はともかく、後になって
ローマに併合されたガリアのフランス語やダキヤのルーマニア語よりは
ラテン語に近い特徴を保持している。

スペイン語の文法は、主語の人称や時制によって比較的複雑な活用
をするほか、名詞に性の区別がある。
発音はそれほど難しくない。母音は日本語と同じ五つだし、子音の数
は日本語より多いものの発音の難しいものはない。ただ一つだけ
「巻き舌」で発音されるラ行音がある。

英語とフランス語には「b」と「v」の区別があるが、スペイン語は日本語
と同じくこの両者を区別しない。

本国ではスペイン語でメヒコ、アルヘンテイーナ、チーレと呼ばれる国
の英語読み、メキシコ、アルゼンチン、チリの呼称は無くなるかも
知れない。

●フランス語
今やアングロ・サクソン民族の旗手となったアメリカへの敵愾心は、
情報技術の時代になって、インターネットを通じて、英語が急速に流入
するに及び、一層強まっているのかもしれない。

ただし言語的に見ると、英語と仏語は共通の祖先に由来する言語であり、
こうした反感は近親憎悪のようなものだ。
英語の祖先は「ゲルマン祖語」と呼ばれ、北ヨーロッパに居住していた
民族が使用していたものと考えられている。仏語の祖先であるラテン語
は、ともに「インド・ヨーロッパ祖語」と呼ばれる共通の祖先に遡ることが
知られている。

ロマンス諸語のロマンスとは、中世ヨーロッパの書き言葉だったラテン語
に対し、民衆が話していた言語を総称するための名前だった。

6世紀には、ラテン語とも他のロマンス諸語とも異なった特徴を持つ、
言語として、仏語が成立していたと考えられる。

中世の仏語は主に北フランスで使われており、パリの王権も弱体だった
ので、あまり勢力のある言語と言えなかった。 しかし、ノルマンデイで
フランス語の方言を使っていた集団が、1066年にイギリスを征服した
ことにより、イギリスの支配階級の言語はフランス語となった。
この結果英語には大量のフランス語からの借用語が入り込む。
フランス語は18世紀から19世紀にかけて、洗練された文化を背景に
国際語としてヨーロッパに君臨した。
北米のカナダではケベック州の住民役7百万人の大多数がフランス語
話者であり、分離独立への欲求を根強く持っている。

現在では国際語としての有用性では、圧倒的に英語に遅れをとっている。
フランス国内ではフランス語だけが使われているのかというと、実は
そうではない。
中世では、同じロマンス諸語に属するオック語(Oc、プロバンス語)が
南フランス全域で使われていた。
アルサス・ロレーヌ地方ではドイツ語の方言を使う人が多い。ブルターニュ
地方ではプルトン語、スペインとの国境地域ではカタルーニヤ語、
ベルギーとの国境地域ではフラマン語(オランダ語)の使用者が存在
する。スペインにまたがるバスク地方では、バスク語の勢力も強い。

●ルーマニア語
紀元2世紀の初頭にローマ皇帝トラヤヌスが征服する以前、この地域は
ダキヤと呼ばれており、ローマ人以外の民族が居住していた。
ローマによる征服以後は急速にローマ化し、言語もラテン語に取って
代られた。

3世紀にはゴート人がこの地域に侵入を始めたから、ローマのダキア
支配は高々200年ほどだった。これ以後、ダキヤの地はゲルマン人
そしてスラブ人に支配されたのだが、この地でローマの言語が使われ
続けた。
異民族の支配の下でも、千年以上もの間ローマの文化と言語を保持
しようとしてきたのは、まさに驚くべきことである。

もちろんスラブ人による支配が長かったから、混血が進んだはずだ。
しかし言語的にはスラブ語を受け入れるのではなく、逆に吸収し、
自分が生き残ることで、古代のラテン語からルーマニア語へと変化を
遂げたのである。

ラテン語には、名詞に男性・女性・中性の三つの性があったが、他の
ロマンス諸語では、男性と女性の二つに単純化された。
しかしルーマニア語では依然として三つの性が残っている。

名詞の文法的な働きに応じた活用形が、ラテン語では六つあったの
だが、ロマンス諸語では一般にすべて失われている。ルーマニア語
では二つに減っているものの活用形の区別は何とか保持されている。
スラブ語からの借用語が多い。「はい」はロシヤ語と同じdaである。

★言語世界地図を続けて書くと、長くなるし、書くほうも疲れるので、
シリーズとして書いて行くことにする。
言語というジャンルが設定されているので、そこをクリックすれば
纏めて見れる。

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キリル文字 入力

れいによって、コントロールパネル、言語、ロシア語追加をした上で、
スクリーンキーボードを出し、民謡「黒い瞳の」の歌詞を入力してみる。
(「黒い瞳」とは違う。)

黒い瞳の

チェルナブローヴイ      チェルナオーキー
Чернобровый  черноокнй
黒い眉の           黒い瞳の   。。黒い眉、黒い瞳の、
モーラヂェツ    ウダールイ
Молодц   удалый
若者         威勢のよい       。。勇ましい若者が、
パラニール      オーン     マヨー   シェールツエ
Полонйл   он     мое   сердце
虜にする    彼     私の   心   。。私の心を虜にした、
ニ     マグー     サブイーチー
Не    могу    забытй
できない  忘れる   。。(私は)(彼のことを) わすれられない。

昔は、キリル文字は慌てものがいろいろ取り違えて作ったものと、
思っていたが、実際は、ロシア文字の制定は、9世紀後半、
ギリシャ人の修道士キリ-ル、メトーデイー兄弟が、モラヴィアへの
キリスト教伝道の必要上、ギリシャ文字を基に創り出した文字が、
現在のキリル文字の原型。
ロシアのみならず、ウクライナ、白ロシア、ブルガリア、マケドニア、
セルビア、さらに、近隣の多くの民族により、使用されている。

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中国語(簡体字) 入力

中国文字は繁体字(香港と台湾の別あり)、簡体字があって、入力が
難しいが、簡体字入力の実験をやってみる。
れいによって、コントロール パネル から言語を選び、中国語
(簡体字)を追加、キーボードは自分の目の前のものを使うことが
できる。
日本語のローマ字入力と同じ方式だが、入力には、ローマ字表記の
ピンイン(Pinyin、 漢字のよみがな)でおこなう。四声込みピンインで
なくてよい。
好きな歌、小城故事を例に入力してみる。 この詩はテレサテンが
中国語全曲集 Best & Bestで歌っており(繁体字の詩つき)、
美しい曲だ。

小城故事  Xiaocheng gushi  小さな町の物語
.....................................................................................................................
小城 故事 多 xiaocheng gushi duo 小さな町の物語は多い
充满 喜 和 乐 chongman xi he le 楽しいこと面白いことでいっぱい
若 是 你 到 小城 来      もし小さな町にきたなら
收获 特别 多             特に成果は大きい
看 似 一幅 画           絵をみて
听 像 一首 歌           歌を聴いて
人生 境界 真 善 美    人生では真と善と美をわけるけど
这里 亦 包括             ここでは、みんな一緒
谈 的 谈  说 的 说            
小城 故事 真 不错     小さな町の物語は本当に素晴らしい
清 你 的 朋友 一起 来     友達と一緒に来て
小城 来 作 客           小さな町の客になってください

上記のなかの黒点は字の候補リストにのっていて、クリックしても、
入力されず黒点になったもの。 クリックして成功したものもある。
この点おおいに悩んだが、Wordで試してみたら完全に入力でき、
結局ココログのサーバーには中国語簡体字のフォントが整備されて
ないのかと思った。上記のできごとは、下書きでの話。
ところが、サイトを表示したら チャンと簡体字が表示されていたので、
びっくりしてしまった。 よくわからないが、 
ココログさん、ごめんなさい。

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ハングル文字 入力

かねてハングル文字入力はどうするるのか、関心を持っていたが、
このところ世間では冬のソナタ騒ぎが賑やかで、この機会に入力を
研究することにした。

例によって、「テキストサービスと入力言語」のダイアログボックス
から追加ボタンを押して、韓国語を選んでOKを押す。
言語バーのJPを押し、韓国語に変える。
スクリーンキーボードを呼び出す。  ここで問題。 
日本語のローマ字入力のキーボードと全く同じ。キーをクリックすると
基本音素のカナ文字みたいなものがでてくるだけで、お手上げ。

Googleでハングル文字キーボードで探すと、来た来た、
koreadays.exblog.jp 対応キーボードが出されており、左側が子音、
右側が母音、そして、面白いことに入力された子音や母音から
自動的に文字の切れ目が判断され、まとまった文字が
作られていく。下のサンプルはこうしてできた。
濃音や一部の合成母音はShift + 子音キー で入力する。

ハングルの子音、母音はキーボードの上には表示されてないので、
対応表の音素文字の位置を覚え、慣れておく必要がある。
注。後日印刷製本した際、ハングル文字は印刷されなかった。
7月2日2005補遺。

冬の恋歌 キョウル ヨンガ 겨울연가 、  
カン ジュンサン 감준삼 、初恋 チョッサラン 찻사랑 、    
初雪 チョンヌン 첫눈
尚、冬のソナタの原題は冬の恋歌である。
腑に落ちない点もあり、サイトの記事、論評も読み、韓国ドラマの謎
冬のソナタ、韓ドラ・フレンズ著、竹書房文庫 Y600もついつい読んで
しまった。

テーマ曲「はじめから今まで」作曲 ユ・ヘジュン/オ・ソクジュン が
静かで美しい。
ヤマハのピアノで弾く「ザ★ヒット2004」に楽譜がのっている。
難易度は一番高い星三つになっている。

ソウルには、以前仕事で3度行ったことがある。

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ヒエログリフ 入門

先日、妻と東京駅丸の内北口、OAZOに行った。 
エスペラント語でオアシスの意味の由。

自分は丸善本店5階の歴史室エジプトの棚でヒエログリフ関係の
本をさがした。お目当ての本は無かったが、
チャレンジ ヒエログリフ......松本 弥著 発行 弥呂久 Y1,905
ヒエログリフをひらく......松本 弥著     弥呂久 1,942 を購入。
(後日お目当ての本 ヒエログリフ入門 吉成 薫著 発行 弥呂久 
Y1,942は郵便振替で購入した。)

若い時から、線や形の美しさに惹かれ、関心を持っており、
大英博物館のエジブト室、カイロの博物館にも行ったことがあり、
ロゼッタ ストーン解読、レスリー・アドキンズ著、木原 武一・訳も
読んでいたが、今年8月、集英社新書で近藤二郎著[ヒエログリフを
愉しむ] を読んで、ちょっと入り込んでみるかの気分になり、参考書を
買う気になった。
この年で深入りするのは、良くない、やばいと感じるが、無理と
思ったら止めればよいとの、目的なしの気分で始めることにした。

ヒエログリフの本は活字の問題もあり、どうやって作るのか、関心が
あったが、発行者松本さんのあとがきによれば、マッキントッシュ を
駆使することにより、かなりの面で、日本文のなかにヒエログリフを
組み込むことが出来るようになったこと、また、進んだ編集ソフト、
画像処理ソフトのおかげで仕上げが容易になったとのことである。
マッキントッシュだけが,GUIをやっていた頃、グラフイック ソフトの 
クラリスをいじっていたが、いまでも特色ある分野で活躍している点,
再注目した。

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アラビア文字 入力/表示 実験

アラビア語は右読み右書きだが、Computerではどのように入力
するのか、実験した。
先ず言語登録が必要。
「スタート」「コントロールパネル」,<日付け、時刻、地域と言語の
オプション>をクリック。
<言語>パネルを表示、<複合文字や右から左方向に書く
言語(タイ語を含む)のファイルをインストールする>をオンにして、
<適用>ボタンをクリックする。

<詳細>ボタンをクリックし<テキストサービスと入力言語>の<設定>
パネルの<追加>ボタンをクリックし、<入力言語の追加>
ダイアログボックスを表示。
<入力言語>をクリックし、表示一覧から、エジブト語をえらび、
OKボタンをおす。これで、下部言語ボードのJP欄に、
アラビア語(エジブト)が記載される。

スクリーンキーボードの表示。
プログラムーアクセサリーユーザー補助ーースクリーンキーボード。
JP欄のアラビア語をクリックする。 キーにアラビア文字フォントが
出ないときは、設定メニュウのフォントをクリック、ArabicTransparent
をクリック、太字にし、サイズを14にすると見やすい。

実際に打ってみる。テキストはNHKテレビ「アラビア語入門」
字が小さすぎる。 スペースを打つと、カーソルが単語の右のほうに
飛んでいって、これは駄目だと、悩んだが、かまわず次の文字を
打ち込むと、最初の打ち込みの位置にカーソルがもどって、
問題解決。やれやれ。

注。後日このブログを印刷製本した際、不具合が発生した。
アラビア文字は印刷されず、アラビア文字のつぎの行から
日本文がすべて右書きになってしまう。
右から丁寧に読めば読めないこともない。7月2日2005補遺

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
        ←
السلام عليكم
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
a(l)-ssalamu 'alaykum アッ・サラーム アライクム ごきげんよう 
あなたがたの上に平安あれ、 アッサラームが平和
キーボードのキーはすべて独立形で、自分も独立形を並べていた
積りだが、単語の中が接続形になっており、不思議だ。
また、どうしてもアラビア語のフォントが大きくならない。

こんな小さな字では何の役にもたたない。 右から入力の
遊びをしただけ。

1975年に仕事で、アルジェリア、カイロ、サウジのジェッダ、
アラブ首長国、クウエイト、バクダッド、テヘラン、ベイルート(丁度
内戦が始まった時だった)、アテネ に行ったが、その際、英単語・例文
に対応するアラビア語を、発音を英語標記にした、ポケット本(アラビア
文字は無し)を買った。
アラブ・アルファベット、Public Notice、Road Signsのアラブ文字の
記載はある。今でも手元にある。

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ギリシャ文字 表示実験

ウインドウズ IME 入力で ギリシャ文字入力ができる事は、知って
いたが、サイトでエンコード選択なしで表示できるか、疑問があった
ので、実験してみた。
結果はOKである。

スクリーンキーボード使用
ΕΛΛΑΔΑ (発音) エラザ、 小文字 Ελλαδα、ギリシャ
ΕΛΛΑΖ...........................エラス..Ελλας  古い形のギリシャ
ΑΘΗΝΑ.......................アシナ.....................ΑΘηνα、  アテネ
Ολυμπιακ オリンピアク オリンピック

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歌詞と多言語

新潮新書、井上孝夫著、”世界中の言語を楽しく学ぶ”

学んだ言語は100以上というから凄い。 参ったという感じ。
この人の動機は、漠然とした世界を知りたいという気持ちと歌詞を
理解して聴いて楽しもうということ。
昔、自分にも似たような動機があったが、この人のような努力、工夫、
持続力には及びもつかないながら、英語は別として、齧ったものは、
10言語くらいになる。

これまで、ちょっとずつ読んできたが、歌というものは、詞の内容を
把握すれば、一層味わい深いものであるので、好きな曲を目標に
続けて行きたい。

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