ソフトバンク・クリエイテイブ社サイエンス・アイ新書
青木謙知著「F-22はなぜ最強といわれるのか」08年
12月24日刊を読む。
ロッキード・マーチンF-22ラプターは、現在ロッキード・
マーチン・エアロノーテイクスが航空機の事業を一手に
引き受けているが、その傘下にある。その本部は
テキサス州フオートワースにあり、実際にF22組み
立てているのはジョージア州マリエッタである。
ロッキード・マーチンでは、F22を従来の戦闘機にない
特徴をもっているところから、「第5世代戦闘機」と位置
づけている。ラプターRaptorとは猛禽類のこと・
その特徴とは、高いステルス性、より優れた運動性、
超音速巡航飛行能力、最新のセンサーの情報を融合化
させることでの高い状況認識力の提供、ネットワークを
活用しての作戦能力、高い展開能力、すぐれた維持・
管理性という、従来の戦闘機を上回る能力と機能をもち、
さらにそれをひとつのパケージに纏め上げたという点に
ある。
2006年に行われた「ノーザン・エッジ」というアメリカ
空軍の演習で、就役したばかりのF22は、模擬空中戦
で242対2という撃墜率を記録した。これは242機を
撃墜している間に、2機だけしか撃墜されなかったという。
通常なら5対1程度の撃墜率で圧勝といわれているから、
F22の完勝といってよい数字だ。
F22の用途について、「航空支配戦闘機」という言葉が
使われている。
これまで、空中戦で空を支配して制空権を獲得する
戦闘機を「制空戦闘機」といい、F15はその代表だ。
空中戦も対地攻撃もこなせる戦闘機を「戦闘攻撃機」と
呼ぶ。F16やF/A18など。
この「航空支配」という任務は,従来の制空戦闘をさらに
発展させたもので、敵戦闘機など空中の脅威を完全に
打ち負かすとともに、必要に応じ精密攻撃を行う。
味方の攻撃部隊が敵の戦闘機に遭遇することなく
任務をこなす支援を行う。
F22は当初は空対空戦闘だけを任務とする戦闘機として
計画されていた。しかしその後ステルス性を活用しての
精密攻撃能力も要求に加えられ、さらに現在では防空
レーダーや地対空ミサイルなどの、敵の防空網を制圧
する能力が追加される。
「ステレス(Stealth)」とは、「隠密」の意味だ。要するに
見つかり難いということ。
レーダーに対するステルス性を示すときに使われるのが、
レーダー断面積(RCS)という数値だ。これはある物体を
レーダーの電波で捉えたときに、その電波の反射波が
発信したレーダーに戻ってくる部分の面積で表したもの。
ステルス技術を使っていない戦闘機の場合、
5平方メートル程度と言われている。この数字は真正面
から捉えた場合。
ステルス性を高めるということは、端的に言えばRCSを
減らすこと。その手法としては、機体の形状に工夫を
こらすこと、レーダーの電波を吸収してしまう構造や素材
を使うことなどがあり、その度合いを高めればステルス性
も高まる。
成功例の一つが米のB2爆撃機(ノースロップ・グラマン)で
大型機でありながら0.75平方メートル以下のRCSを
達成した。
F22のRCSは0.01平方メートルとも言われこれを大きさで
表すと小鳥程度だという。
ステレス爆撃機B2とともにステレス戦闘機F117(ロッキード・
マーチン)が発表され、世界で最初に実用化された
航空機がロッキードSR71戦略偵察機であった。1964年
初飛行、1966年1月就役、高度24,000メートル以上を
マッハ3~3.5で飛行できた。SR71はすでに退役して
いるが、多くの偵察飛行を行いながら1機も撃墜されて
いない。
F22が装備する2基のプラット&ホイットニーF119エンジン
の推力変更式排気口は、排気の噴流の向きを上下に
変えることが出来る。
F22では超音速巡航時にはアフターバーナーを使わない。
マッハ1.82で超音速で巡航が可能とされている。
ロッキード・マーチンがF22に続いて開発している第五世代
戦闘機がF35ライトニングⅡだ。 F22に似た形をしているが
エンジンは単発。F22と同様に高いステレス性を備え、また
F22よりさらに進んだ最新のコックピットを装備しているので
パイロットの状況認識力が高まり、高い生存性と戦闘能力
を有する。一方でF22よりも大幅に低い価格達成が大きな
目標。
開発試験作業にはイギリスなど8カ国が参加していて、
多くの国に輸出することを目指している。
一つの基本設計から3タイプを製造する。空軍向けの通常
離着陸(CTOL)型F35A、海兵隊やイギリス空海軍向けの
短距離離陸垂直着陸(STOLVL)型F35B,海軍向けの
艦上(CV)型F35Cだ。装備国側の要求に合わせてどの
タイプでも輸出可能と。
○第3世代戦闘機
飛行性能の面では第2世代戦闘機と大きく変わるところは
ない。大きな違いは第2世代機の多くが、迎撃なり爆撃なり
単一任務を重視していたのに対し、多くの任務をこなせる
ようにした「多用途化」に開発の主眼を置いた。
第3世代機の一部には「可変後退翼」技術も適用される
ようになった。この世代を代表する戦闘機は、ボーイング
F4フアントムⅡだ。
F4はアメリカ海軍向けに開発されたものだが、空軍も導入
を決定した。さらに日本をはじめとする多くの国で装備が
行われた。その結果、アメリカ製ジェット戦闘機としては、
最多の5,195機(偵察型と日本のライセンス生産型を
含む)が製造された。
F4はすぐれた空中戦能力と対地攻撃能力を兼ね備えて
いた。
可変後退翼機が空軍向けの(元ジェネラル・ダイナミックス)
ロッキード・マーチンのF111だ。戦闘機というより戦闘
爆撃機。
旧ソ連では同じく可変後退翼を使ったMiG23が開発された。
また攻撃専用型MiG27もつくられ、両タイプともMiG21と
同様に多くの国で採用された。 F111の旧ソ連版といえる
のがスホイSu24,高速戦闘爆撃機だった。
MiG25フオックスバットはマッハ3近くの高速性とすぐれた
上昇・加速性能をそなえていた。2枚の垂直安定板や
主翼の配置などのちのアメリカのF15に大きな影響を
与えた。
また旧ソ連は米F4に影響されて開発したという、スホーイ
Su15と言う迎撃戦闘機がある。輸出はいっさいなくソ連
空軍のみが運用した。
○第4世代戦闘機
飛行中の戦闘機は位置と運動の二つのエネルギーを
持っている、位置エネルギーは高度のことで、運動
エネルギーは速度でこれ等は必要に応じて変換する
ことができる。第4世代戦闘機の最大の特徴は、この
エネルギーの管理を行いながらの空中戦を可能にした
点だ。
アメリカではノースロップ・グラマンF14,ボーイングF15、
ロッキード・マーチンF16,ボーイングF/A18がこれに当る。
いずれもが高い運動性を持っていて、それまでの戦闘機
よりもはるかに小さな半径で旋回などが行える。
F15は高速性能や加速性、上昇力に優れている。
F16はフライ・バイ・ワイア操縦装置など多くの新技術を
導入し、小型、軽量で扱いやすいこと、機体価格が安価
なことなどから、多くの国で導入されF4につぐベスト・
セラー戦闘機になっている。
旧ソ連では、MiG29とスホーイSu27が優れた運動性を
備えた。
西ユーロッパの代表機種は、フランスのダッソー・
ミラージュ2000と、英・独・伊の共同開発機パナビア・
トーネードがある。トーネードは可変後退翼の戦闘機。
○第4.5世代機
第4戦闘機よりは後に開発・実用化されたものの、第5
世代戦闘機の特徴とされる要素のすべては備えて
いない戦闘機である。
多くの場合、ヨーロッパ諸国が開発した最新世代戦闘機
を指している。
スウエーデンのサーブJAS39、仏のダッソー・ラファール、
英・独・仏・伊共同開発のユーロファイターだ。
この3機種に共通しているのは、無尾翼デルタの機体
構成にカナード翼と呼ぶ前翼を組み合わせている点。
米では第4世代戦闘機のF/A18を一回り大型化すると
ともにステルス技術や最新の電子機器を装備することで
戦闘能力を高めた、F/A18E/Fスーパー・ホーネットが
開発されている。
ロシアのMiG29の発展改良型MiG35やSu27ファミリーの
新世代型Su30/35も4.5世代に分類できる存在。
○F22に続く第5世代戦闘機
米ではロッキード・マーチンがF22に続く戦闘機として、
F35ライトニングⅡの開発を進めている。F35は単発の
小型戦闘機で、超音速巡航能力はないが、そのほかは
F22と同等の特徴を備えていることから、F35も第五世代
の戦闘機と位置付けている。
F35はまた開発試験の段階から諸外国も参加するなど、
F16に代わる国際戦闘機となる可能性を秘めている。
ロシアでは「PAK FA」という計画名で新戦闘機の研究が
スホーイが担当、設計名T50で行われている。
西ヨーロッパ諸国では、開発経費が高額となる、新世代
戦闘機はもはや1国では開発不可能との認識が広まって
いる。
独自戦闘機を開発している国にはほかに中国があり、
殲撃14型(J14)とよぶ新世代戦闘機の開発を行って
いるといわれる。
○ゲーツ米国防長官は4月6日、10年度(09年10月
から1年間)の予算編成に向けた装備見直し案を公表。
1機約1億4千万ドル(約140億円)とされるF22について
「導入が決まっていた187機で生産を中止する」とし、
「軍事的にそれ以上の必要がない」と理由を説明した。
F22は日本の次期主力戦闘機(FX)の有力候補で、
機種選定にも大きな影響を与える。
米議会は機密保持のためF22の輸出は認めていない
ので、日本側は今後ユーロ・ファイターやF35を検討
せざるを得ないが、日米関係からF35を採用することに
なるだろう。
尚中国はかねてパキスタンと共同開発していた戦闘機
「JF17」42機をパキスタンに売却する契約に調印した。
契約額は10億ドル(約9百80億円)。また本機は
アジアやアフリカの発展途上国への売却も見込んでいる。
調印はイスラマバードで、42機をパキスタンで共同生産
する。パキスタンは将来的には250機まで増やす
とともに、2010年には中国から早期警戒管制機も輸入
する計画という。
JF17は中国で「梟竜」、パキスタンで「サンダー」と呼ぶ。