科学で分っていないこと

9月6日、日経読書ページ「半歩遅れの読書術」に
経済学者、大竹文雄さんが「科学者の物語」を書いて
いる。軽いショックを感じたので引用する。

日本の理科の教科書は薄い。その薄い教科書でさえ、
既に多くのことが科学的事実として分っているという
ことに圧倒される。そのため科学が既に完成されたもの
で、新たに発見や発明する余地がないように誤解して
しまう。

実際には科学で明らかにされているのは、まだホンの
僅かで、分っていないことの方が多い。最前線では
様々な仮説が並存している状態が続いていて、科学者
たちは日夜戦っている。

教科書からはそれは分らない。要するに、「物語」が
欠けているのだ。教科書に欠けている「物語」の部分を
補ってくれるのが、ポピュラーサイエンスだ。
日本でも科学作家としての能力も極めて高い科学者で
ある、池谷祐二や福島伸一がいる。

しかしイギリスの科学作家の質の高さには驚かされる。
サイモン・シン、リチャード・ドーキンス、ピータ・アトキンス
など。その極みの一つが、ナイジェル・コールダーの
「オックスフオード・サイエンス・ガイド」(屋代通子訳、
築地書館)だ。大きさも厚さも電話帳のような本で、113
の項目一つ一つが、最新の技術に基づいた非常によく
できたエッセイになっており、それらの科学的発見に
貢献した学者に関する「物語」が描かれている。

本の携帯性と言えば。最近重宝しているのは、「スマート・
ホン」にいれてある電子書籍だ。「オックスフオード・
サイエンス・ガイド」もそろそろ電子ファイルにして、持ち
運ぼうと考えている。

| | Comments (0)

アインシュタインの眼 「飛ぶ・・身近な飛行物体の不思議」

今回のテーマは「飛ぶ」メカニズム。紙飛行機がよく飛ぶ
秘訣や、回転飛行する植物の種、4枚の羽を動かす
トンボの飛行術など身近な飛行物体の不思議に迫る。
司会 恵 俊彰、塚原 愛 出演 米村 伝治郎
11月8日(土)

よく飛ぶ紙飛行機をハイスピード・カメラで撮影した映像
で見ると、斜めの姿勢を保っていることがわかる。さらに
風洞実験装置で詳しく見てみると、機体が斜めになる
ことで、翼の上に小さな空気の渦が現われ、台風と
同じように渦のところは気圧が低い。このため翼の上下
に気圧の差が生まれ、空気が機体を押し上げている
ことがわかる。また重心が前方1/4のところに無いと、
反り返って墜落するので、重心に留意必要。

回転飛行するアルソミトラの種、楓の種、菩提樹の種は
種自体が前方1/4のところにあり、また回転羽の前縁が
後縁より重い。これにより回転の間に風で遠くに飛んで
行くという仕掛けになっており、植物が自然に身につけた
技術に驚かされる。

銀ヤンマの飛行をハイスピード・カメラで撮ると、羽は一つ
づつ別々に動いており、ホバリング、急ブレーキ、急反転
を自在にやっている。風洞実験装置で見ると、羽は一つ
づつの筋肉を持っており、独立して動かしていることが
わかる。動物界で最高の飛行技術を持っている。

身近な現象を判りやすい科学で説明する例の伝治郎さん
がブーメランの仕掛けを説明する。ブーメランがなくても
1定の平べったい形のもので翼になるものがあると、縦に
少し角度をつけて投げると自分のところに帰ってくることを
実演する。その時物体は旋回して飛行している。


| | Comments (0)

HDDへの道 ノーベル物理学賞

物理学賞を受けるアルベール・フェール仏パリ南大教授(69)とペーター・
グリュンベルク独ユーリヒ固体物理研究所教授(68)の業績は、磁気を
かけると物質の電気抵抗が大きく変わる、巨大磁気抵抗効果(GMR)の
発見だ。

超低温時だけでなく常温でも効果が得られることを突き止めたことで、
この研究分野を表舞台に押し上げた。物質に磁気をかけると電気抵抗が 
変化する磁気抵抗効果(MR)は、150年前から知られていた。だが70
年代までは産業化に向けた素子の開発が難しく、効果が得られると
しても絶対零度に近い低音でないとだめだった。

転機は88年、鉄やクロームを重ねて磁気をかけると、電気抵抗が大きく
変わることを二人が見つけた。
10年後に東芝がGMRを応用して、わずかな信号の変化も磁気ヘッドを
搭載したハードデイスク・ドライブを製品化。記録密度は毎年2倍のペース
で向上した。
最近は携帯音楽プレーヤーやDVDレコーダにも使われ、社会のIT化に
大きなインパクトを与えた。

GMRの特徴は電子の電荷だけでなく、磁石の性質(スピン)も利用して
いる。二人はスピントロニクスという分野を切り開いた。
GMRに触発され、東北大の宮崎照宣教授は94年、金属の代わりに、
絶縁体をはさみこむトンネル磁気抵抗効果(TMR)が、常温でGMRより
大きな電気抵抗の変化を起こすことを発見した。
さらにマンガン酸化物を使って、100万倍以上の電気抵抗の変化(CMR)
も発見されるなど、MRをめぐる研究は発展を続けている。

| | Comments (0)

触媒 ノーベル化学賞

触媒(Catalyst)の原理を解明した、独マックス・プランク研究協会フリッツ・
ハーバー研究所のゲルハルト・エルトウル名誉教授(71)に贈られる。
代表的な業績は化学肥料の原料となるアンモニアを合成する際、触媒と
なる鉄の表面で起きている、窒素と水素のふるまいを明らかにした。
窒素分子N2が鉄の表面で原子に分かれ、そこに3個の水素3H2の水素
原子が1個ずつくっついて、2個のアンモニア分子2NH3に変わることを、
電子分光法という表面解析法を応用して確かめた。

また自動車の排ガスの浄化に使われる白金触媒にかんしては、1酸化
炭素COが2酸化炭素CO2に酸化される仕組みを解明した。
白金に紫外線をあてた時、表面から飛び出してくる、電子の様子を画像化
する光電子顕微鏡(PEEM)を用いる手法を開発した。表面で起きている
反応を、渦巻などの模様として、リアルタイムで見られるようにした。

エルトウル氏の業績を基礎として、金属表面で起きる化学反応の研究が
飛躍的に進み、新たな触媒の開発などにつながった。

自分はShipley Co.に勤めていた頃、回路基板の上下導通孔に銅を展張
するのに、電解法は使えないので、パラジウムを触媒として、無電解銅を
くっつける方法を知った。

しかし、触媒のことは、結果ばかり知らされて、一体触媒がどんな風に
働いているのかはちっとも判らない。

生体内の酵素も触媒といえるが、こちらは生体触媒だ。

| | Comments (0)