朝日週刊誌AERA、11月16日号の記事を抜粋する。
公開中の映画「沈まぬ太陽」に対し、日航が社内報で
大々的な批判を繰り広げている。
「お客様のみならず、ご家族、ご友人からの質問や
問い合わせ等の際に参考にして下さい」と狙いを説明
した上で、「沈まぬ太陽」への痛烈な批判を展開して
いる。映画を「当社と個人のイメージを著しく傷つける
ものです」と結論づけ、
「作り話を加えて、御巣鷹山事故
を映像化し、商業的利益を得ようとする行為は、御遺族
のお気持ちを察すると、配慮に欠けると言わざるを得ま
せん」事故後に役員が利益供与や贈賄に手を染める
場面については、「こんな不正あるわけがない」と断じ、
「殆どがフイクションであるにも関わらず、事実との境目
が見えません。そのため、私たち社員にとっては、
極めて不快と感じるシーンが続き、一般の方には不正
経理や贈賄等のすべてが事実に見えてしまう」と憤って
いる。
映画は冒頭、御巣鷹山の墜落シーンを繰り返し描く。
墜落現場で必死に働く男が大写しになる。それが
国民航空社員の恩地元(おんちはじめ・・渡辺謙)だ。
恩地は若いころ労働組合委員長としてストライキで、
待遇改善を勝ち取るが、職場にもどると懲罰人事で
海外の僻地、カラチ、テヘラン、ナイロビを転転。
ようやく帰国した年の夏、墜落事故が起き、遺族掛と
して奔走する。
「渡辺氏演ずる主人公は御巣鷹山事故のご遺族係りを
していますが、恩地のモデルの小倉寛太郎は当時
御遺族係りはしていません。小説は全くの虚像です」。
経営建て直しのため、国民航空は関西紡績の国見正之
(モデルは伊藤淳二氏・・石坂浩二)を会長に迎える。
恩地は会長に呼ばれ、会長室部長(約10人)に起用
されるが、伊藤氏が失脚すると、三度ナイロビに赴く。
事実と創作をごちゃまぜにする手法や、主人公を完全な
正義と単純化する描き方に、違和感を覚える関係者は
少なくない。
日航はこれまで、原作者の山崎氏には小説の出版を、
映画を作ろうとした角川映画には映画化を、それぞれ
中止するよう書簡で再三求めてきた。
故小倉寛太郎(おぐらひろたろう)氏は1930年生まれ、
東大法学部在学中、学生運動の闘士だった。小倉氏は
保険会社をへて日航に入社、国際旅客課などに勤務した
後、労働組合委員長に就任した。
定年退職後は、76年に自ら設立した、東アフリカ好きが
集う「サバンナ・クラブ」の活動に全力を注いだ。会員の
寄付金でアフリカに密漁防止用4WDパトカーを贈り、現地
の小学校の校舎も完成させた。
2002年71歳で死去。
事故の補償金は600億円に達するという。これは日航が
付保している機体、旅客保険で、保険会社が実質払った
という。ボーイングは当初日航と折半して払うとしていた
から、300億円程度を保険会社に払ったのではないか。
日航を引退したOBたちの年金受領額は、国交省資料に
よると月額43万円(厚生年金プラス企業年金か)とある。
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